ニッチな飲食店のマーケティング企画室

ニッチな飲食店のマーケティング企画室 飲食店ビジネスをニッチの視点からマーケティングします

ニッチな飲食店のマーケティング企画室のミッション

コロナ禍で大変です。
飲食店ビジネスに大きな影響がでました。
いま、大切なのは「そのお店に行く理由があるのか」だと思います。
どうしてもそのお店に行く理由がないとお客さまは来ません。
どうしたら「行く理由のあるお店」になれるかです。

少し別な話です。大きな問題があります。
飲食店は生産性が低いことです。
2016年の中小企業白書で業種別の労働生産性が発表されました。
飲食サービス業は、全業種のうちで最低でした。
生産性が低いというのは、付加価値が少ないということです。
わかりやすく言うと、儲けが少ないということです。
なんとかしないといけません。

儲けが少ない。それは、安く売っているからです。
なぜ安く売ることになるのでしょうか。ほかのお店とおなじものを売るからです。
ラーメンが人気だからラーメン。餃子が流行っているから餃子。
タピオ

カがトレンドだからタピオカ。
ほかのお店と同じようなものを売るなら、価格で競争することになります。
そうなると安売り競争です。儲けは少なくなります。

また、少し別な話になります。ニッチについてです。
ニッチはすき間と思われています。しかし、すき間ではありません。
ニッチは、たったひとつの独自のポジションのことです。
生き物が生きていくために見つけ出したひとつだけの独自ポジション(生態的地位)がニッチです。

独自であれば、ほかのお店とは違うので、安売りで競争する必要はありません。
独自であれば、ほかのお店とは違うので、お客さまがお店に来る理由が生まれます。
安売りしなければ、そしてお客さまに来ていただければ儲けがでます。

ニッチは日本ではあまり注目されていません。
しかし、世界ではニッチに注目が集まりはじめています。
ニッチ(niche)という言葉の検索数は世界全体で2015年ごろから上昇しています。
差別化や多様性を進めようとすると、ニッチが必要になるからだと思います。

しかし、どうやって儲けが出るニッチを見つけるのか。
どうやって、ニッチな飲食店のビジネスを続けるのか。
難しい問題です。よく研究して考え、試してみる必要があります。
これについて、Webサイトに記事を掲載し、活動のレポートをしています。

飲食店には、いつも一生懸命に働いているたくさんの人たちがいます。
働いている努力がむくわれる必要があります。
飲食店は儲からない、すぐつぶれる、ブラックだなどと言われないようにする必要があります。
ニッチな飲食店について調べて、考えることによって
いまを変えることができると信じています。

使命は「ニッチな飲食店のビジネスモデルを提言し続ける」ことです。

240417  19note  富士山の湧き水で水の大切さを知る「水のレストラン」構想      水は大切です。水がないとヒトは3日で死んでしまいます。関東に国替えが決まった徳川家康も真っ先に江戸の飲み水を探しました。地震と火山の国日本は湧...
20/04/2024

240417  19note 

富士山の湧き水で水の大切さを知る「水のレストラン」構想
      
水は大切です。水がないとヒトは3日で死んでしまいます。関東に国替えが決まった徳川家康も真っ先に江戸の飲み水を探しました。地震と火山の国日本は湧き水や川など水に恵まれています。ところが食糧自給率が低いことから実質的には水を輸入しています。実は水不足の国だったんですね。気候変動で水に関心が集まっています。富士山の湧き水を使う「水のレストラン」を構想してみました。円安で世界から観光客がやってきます。観光客は日本の食に期待しています。富士山の湧き水で歓待できないでしょうか。良くも悪くも日本の水はこれから注目されるはずです。(約4000字です。ホームページは「ニッチな飲食店」で検索してください)
     
     
●水は大切。『古事記』にもたくさんの水の神さま
   
 生命のはじまりは水から。水なしで人類は生まれませんでした。
  
日本最古の書物『古事記』(712年)にも水の神さまがたくさん登場します。国生みの夫婦神「イザナギ・イザナミ」は淡路島などの大八島(おおやしま)を生んだあと、岩や土の神とともに水の神さまたちを生んでいます。
  
海の神「大綿津見神(おおわたつみのかみ)」。水の門口の夫婦神「速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)・速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)」。水の配分の神「天之水分神(あめのみくまりのかみ)」。水を汲むひさごの神「天之久比奢母智神(あまのくひざもちのかみ)」…。古事記には、このほかたくさんの水の神さまが登場します。
  
東京の真ん中、文京区の肥後細川庭園の近くに「水神社(すいじんじゃ)」があります。祭神は水の門口の神「速秋津比古神と速秋津比売神」です。
   
水神社は探してみるとたくさんあります。神田明神の「魚河岸水神社」。こちらの祭神は、お食事中の方すいません、イザナミの尿から生まれ水の神となった「弥都波能売命(みずはのめのみこと)」です。
   
そのほか「亀戸水神社」、「早稲田水稲荷神社」など都内に数多くあります。水に関する神社は全国に200社以上もあるようです。水は古代でも現代でも人間の生活に欠くことのできない大切なものです。
    
    
●駿府から江戸へ。家康は最初に水を求めた
     
 1590年小田原城攻めが終わり、徳川家康は秀吉から関八州への国替えを命じられました。家康がまず取り組んだのが水の確保でした。当時の江戸城周辺は広大な葦原と湿地でした。井戸の水は塩気があり飲用には適していませんでした。
   
 そこで家康は菓子づくりの名人大久保藤五郎に命じて小石川上水を開きました。しかし増え続ける人口に追いつきません。
   
1603年に家康が征夷大将軍となり江戸幕府を開くと諸侯が競って江戸に邸宅を置くようになり、さらに水が足りなくなりました。
   
やがて現在の井の頭公園付近に湧き水があることがわかり、ここから水を引き神田上水として江戸の人びとに水を提供しました。井の頭の湧き水は良質で家康がこの水で茶を飲んだことが伝わっています。
   
江戸の人口は増え続け、1654年には多摩川から玉川上水として水を引きました。江戸の町の発展には水の確保はどうしても必要な事業でした。江戸時代から開発したこれらの水がなければ現在の東京もなかったわけです。
  
    
●ローマの公衆浴場。市民は風呂で遊ぶ
    
 水といえば古代ローマの高架水道橋も思い浮かびます。古代ローマ帝国の繁栄のシンボルです。各地からローマに引かれた水は飲用、生活用水だけではなく娯楽のための風呂の水としても使われました。
    
ローマ風呂は漫画『テルマエ・ロマエ』(ヤマザキ・マリ)で有名です。風呂を設計する主人公は古代ローマから日本の風呂場に出現してヒントをもらってはローマに帰ります。そこから生まれた画期的なアイデアの風呂は皇帝やローマ市民を喜ばせます。
    
『テルマエ・ロマエ』は五賢帝のハドリアヌス帝(在位117~138年)のころの話です。その後のカラカラ帝(在位198~217年)がつくった有名なカラカラ浴場は2~3千人が入れる巨大な大浴場でした。
    
図書館、スポーツジム、遊技場もあったということですから現代のスパリゾートと同じです。ローマの皇帝たちは公衆浴場を提供してローマ市民の人気を獲得したかったようです。
    
公衆浴場には大量の水が必要です。紀元前312年にできたアッピア水道などローマ帝国は近郊から11本の水道を引いていました。
    
大量の水を引くというのは、広大な領土をもち潤沢な資金のあるローマ帝国だからできたことです。自由にたくさんの水が使えるというのは豊かさと繁栄を証明するものです。
    
    
●豊かな水の日本。実は水が足りない
     
「日本は世界のなかでも水が豊か」と思っています。降水量も十分。日本の山々が豊富な水を抱えています。
    
梅雨、台風、積雪など四季に降雨があります。利根川、信濃川、琵琶湖、霞ヶ浦など川や湖もたくさんあります。水不足を感じることはありません。日本の水資源は豊かなはずです。
    
ということで「日本は水大国」。実はこれ間違っています。日本は水を輸入しています。食糧を輸入しているからです。
    
日本の食料自給率は38%です(カロリーベース、農林水産省2022年)。国が自給率45%を努力目標にしていることから自給率は下げ止まっていますが、戦後ほぼ一貫して減少してきました。計算上は食糧の62%が輸入です。
   
外国でつくられた食糧。その生産には水(仮想水=バーチャルウォーター)が必要です。たとえば牛肉1㎏の生産には水20,700リットル、チーズ1㎏は水4,428リットルが必要です(沖 大幹『水の未来』)。
    
食糧の輸入は水の輸入です。日本は世界の水に頼っています。ユネスコによると日本は世界上位の水の輸入大国です。
  
 食糧を輸入しているにもかかわらず、日本では年に523万トンも食糧を廃棄しています(農林水産省2021年度)。食品ロスです。世界からもらったたくさんの大事な水をたくさん捨てていることになります。このままでは世界から叱られることになります。水を大事に使っていることを世界に知らせなければなりません。
   
    
●「名水」とは水を大切にするところから
     
環境省では「昭和の名水100選」・「平成の名水100選」として全国の湧水、地下水など200か所を選んでいます。
    
名水の基準は「おいしい水」ではありません。「平成の名水百選」評価基準は以下のようになっています。
    
(1)水質・水量
(2)周辺環境の状況(周囲の生態系や保全のための配慮など)
(3)親水性・近づきやすさ(水への近づきやすさや安全性を重視)
(4)水利用の状況(水利用の伝統を含む)
(5)保全活動(保全活動の内容・効果を重視)
(6)その他の特徴・PRポイント(故事来歴や希少性など)
  
名水とは健康にいい水とか、飲んでおいしい水とかではなく、いかに水を大切にしているかということだと思います。
  
平成の名水100選のひとつに静岡県三島市の源兵衛川があります。富士山の湧水が流れ出ている川です。ここに「水のレストラン」をつくってはどうかと思います。
   
    
●富士山の湧き水を使う「水のレストラン」
      
 水を大切に生かすニッチな飲食店として「水のレストラン」を三島市につくる構想です。
    
ターゲット、つまりお客さまは外国人観光客です。少子高齢化の日本。円安の日本。歴史と自然に恵まれた日本。外国人観光客に来てもらうのが早そうです。
    
「水のレストラン」をマーケティングの4Pで考えてみましょう
   
(1)製品(プロダクト)は水と和食と茶の湯
三島市では湧き水が水源の柿田川の水を水道水として使っています。硬度は32~58、軟水です(三島市水道局資料)。軟水は煮込み料理など和食に向いています。
   
ダシを使った煮物、なべ物、汁物など水をふんだんに使った料理がいいですね。また、四季を生かして水分の多い地元の野菜もたくさん提供したいものです。
   
三島は「うなぎ」も名物です。富士山の湧き水でうなぎのくさみが少ないといわれています。うなぎも看板料理のひとつですね。
   
特別メニューとして「茶の湯」はどうでしょうか。静岡県は茶の名産地です。茶の湯であれば茶懐石があります。和食の原点です。茶道で日本らしさを表現できます。
   
お茶で一服となれば、茶道のもつ日本の様式美が外国人観光客の満足感を究極にまでに高めることができると思います。
   
茶の湯体験となると「ちょっとランチで」というわけにはいきません。宿泊することになります。池のある和式庭園と日本家屋の建物か古民家の宿泊施設付きのレストランになります。
  
(2)価格(プライス)は宿泊一式で高額設定
食事だけでなく宿泊や後述の観光などを含めるとコストは膨らみます。しかし「水のレストラン」の独自サービスであり付加価値と経験価値があります。提供価格は必然的に高額のものになるはずです。
    
(3)場所(プレイス)は三島市
店舗は源兵衛川や白滝公園などの湧水地のすぐ近くにしたいですね。湧き水のシズル感で食事のおいしさがいっそう高まります。
    
三島市内には奈良・平安ごろに創建し、源頼朝が再興したといわれる三嶋大社もあります。三島の歴史と文化の中心です。
   
三島は東京から新幹線で約1時間。富士山、箱根、伊豆観光の基点としても便利な場所です。
    
しかし富士山の湧き水といえば近所の富士宮市から「こっちだろ」と言ってくるかもしれません。名所、湧玉池(わくたまいけ)と富士山信仰の本家、富士山本宮浅間大社があります。焼きそばも有名です。もめないように、そこは話し合いでお願いします。
   
(4)プロモーションは富士山と箱根と伊豆。そして水の体験
世界文化遺産の富士山、白糸ノ滝、三保の松原などの観光。また国内屈指の観光地の箱根・芦ノ湖観光。さらに伊豆半島の観光もできます。とても一日では終わりません。必然的に宿泊することになります。
   
もちろん源兵衛川でのせせらぎ体験や「わさび」や野菜づくりなど地元の水にかかわる体験もしたいものです。
  
   
●まとめ。日本の水の大切さを知る
    
日本人は水の大切さがわかっていないかもしれません。蛇口をひねると水が出てくるのが当然と思っています。
   
シンガポールのように自国で水がまかなえない国では、水を徹底的に再利用しています。水は安全保障の問題だからです。
   
ナイル川やメコン川などの国際河川の流域国では水利用が紛争の種になっています。毎日の飲み水を心配する人が世界にたくさんいます。
    
水の問題は温暖化の問題でもあります。畜産業は水を大量に使います。トウモロコシなどの飼料の生産には広い土地と多くの水が必要です。これによって乾燥が進み、干ばつが起こります。これから「水」は世界が関心を強くよせるものとなります。
   
水を自由に使い、海外から食糧としての仮想水をたくさん輸入する日本。「水のレストラン」として日本の水を海外の観光客に提供することで、自身で水の大切さを学ぶことができそうです。
   
    
<参考文献>
山口佳紀・神野志隆光校訂・訳『日本の古典を読む① 古事記』小学館 2008
門井慶喜『家康、江戸を建てる』祥伝社 2016
堀越正雄『江戸・東京水道史』講談社学術文庫 2020
本村俊二『テルマエと浮世風呂 古代ローマと大江戸日本の比較史』NHK出版新書 2022
武内英樹監督、ヤマザキ・マリ原作『テルマエ・ロマエ』フジテレビジョン 2013
沖 大幹『水の未来 グローバルリスクと日本』岩波新書 2016
橋本淳司『通読できてよくわかる水の科学』ベレ出版 2014
丹保憲仁『水の危機をどう救うか 環境工学が変える未来』PHPサイエンス・ワールド新書 2012

#ニッチ・マーケティング #飲食店ビジネス

【急成長する日本のヴィーガンレストラン。世界市場に大きなチャンス】   日本のヴィーガンレストランはまだ夜明け前です。しかし世界ではヴィーガンやベジタリアンが急速に増加しています。畜産業による気候変動への影響を若い世代が懸念しているからです...
01/04/2024

【急成長する日本のヴィーガンレストラン。世界市場に大きなチャンス】
   
日本のヴィーガンレストランはまだ夜明け前です。しかし世界ではヴィーガンやベジタリアンが急速に増加しています。畜産業による気候変動への影響を若い世代が懸念しているからです。日本でもあと数年でヴィーガンが増えるはずです。しかしヴィーガンの食事は少し物足りません。日本の飲食店技術と食材ならカバーできそうです。世界のヴィーガン市場に出ていくべきです。世界は日本のヴィーガンレストランを待っています。これまでのヴィーガン思想を超えた大きなコンセプトをもつことで成功するはずです。(すいません約7000字です。ホームページは「ニッチな飲食店」で検索してください)
   
   
●東京のヴィーガンレストランは急増中。期待できるビジネスへ
    
「ヴィーガン?私は関係ない」。きっとそう思っていますね。
   
「肉も魚も卵もない食事なんて考えられない」でしょう。
    
 ところが東京のヴィーガンレストランを調べてみると、ここ数年で急速に増えています。世界的に有名なヴィーガンのためのWebサイト「HappyCow(ハッピーカウ)」によると2024年3月時点で東京には104のヴィーガンレストランがリストアップされています。
    
 東京のヴィーガンレストランは2017年から増えはじめています。2024年は3月時点で、すでに5店がオープン。このペースならば今年20店近くがオープンすることになりそうです。
   
 ヴィーガンレストランは「ニッチな飲食店」です。しかし成長が期待される飲食店ビジネスでもあります。
   
   
●まだ夜明け前の日本のヴィーガンレストラン
     
 東京のヴィーガンレストランは約100店。増えています。世界の大都市のなかでは多いほうかもしれません。
   
しかし10万人あたりの数で見ると約1.1店。オランダのアムステルダムの7.5店やパリの4.2店と比較するとかなり下位です。
    
WebサイトのHappyCowは利用者からの情報(レビュー)でリストを作成しています。ビックリするのは食ベログにも出てこない小さな店までリストにあがっていることです。
   
日本では外国人観光客が多いにもかかわらずヴィーガンレストランはまだ少なく、その情報も十分ではありません。
    
来日したヴィーガンが必要性にかられてレポートしているのだと思います。どうやら世界のヴィーガン観光客からは「日本は少し遅れている」と思われているようです。
   
2022年の観光庁「訪日外国人消費動向調査」では外国人観光客が「訪日前に期待していたこと」についてトップは約86%で「日本食を食べること」でした。
   
コロナ禍が終わり外国人観光客もこれからさらに増加するはずです。日本の食を楽しみに来日することを考えるとヴィーガンレストランが少ないのはもったいない気がします。
   
また、しばらくすると日本人でもヴィーガンに関心をもつ人も増えるはずです。アメリカやヨーロッパ諸国の様子から、東京のヴィーガンレストランもいまの2倍、200店ぐらいになってもよさそうです。
    
急成長の日本のヴィーガンレストラン。でも状況は夜明け前です。明けるまでにはあと少し時間がかかりそうです。
   
   
●ヴィーガンは数パーセント。しかしベジタリアンなどで10%?
    
ではヴィーガンがどのくらい存在するかです。森映子の『ヴィーガン探訪』よると英国では約3%、ドイツでは約1.5%、日本は約2%となっています。しかし各国での正確な調査データはないようです。
    
肉を食べない人はヴィーガン以外に、野菜中心で卵や乳製品を食べる「ベジタリアン」、ベジタリアンでも魚は食べる「ペスカタリアン」、ときどき肉を食べない生活をする「フレキシタリアン」などもいます。
   
観光庁の資料によると全世界で約8%の人が「ベジタリアン等」となっています。インドでは宗教上の理由からベジタリアンが多数います。台湾では仏教徒としてニラ、ニンニク、ネギなどの五葷(ごくん)を食べないオリエンタルヴィーガンもいます。
    
ヴィーガンが2~3%であったとしても、ベジタリアン、フレキシタリアンも含めると世界で肉食をしない人の数は10%ぐらいになるはずです。肉を食べない人は思った以上に多くありませんか。
  
    
●気候変動がヴィーガンになる理由
     
「私はヴィーガン」という日本人は少ないようです。しかし欧米では急速に増加しています。
   
ヴィーガンは、なんとなく「肉も魚も卵も食べない人たち」などと思っています。でも正統派のヴィーガン(エシカルヴィーガン)は厳格です。
   
定義は「衣食その他、あらゆる目的による動物の搾取と虐待を現実的で可能なかぎり暮らしから一掃しようと努める生き方」(パメラ・ファーガソンの『ヴィーガン食の栄養ガイド』)です。
   
肉はもちろん、ハチミツ、カツオだし、皮製品のバッグ、ウールのセーター、羽毛の布団もダメです。さらに動物実験を行った医薬品も使えません。動物を搾取と虐待と殺戮から完全に解放するのが目的です。
   
「ワンちゃんや猫ちゃんは家族として可愛がるのに、どうして同じ動物である牛や豚は殺して食べるのですか」というのがヴィーガンの問いかけです。
    
「そうはいっても昔からシカやイノシシを狩猟して生きてきたんだから」、「肉なしの食事だと健康に良くないでしょ」、「そもそも食事がおいしくないから」…と思う人、私を含めて大半ですね。
   
それでも急速にヴィーガンが増えているのには別な理由があります。気候変動です。猛暑に寒波、100年に一度の大雨に洪水、乾燥による山火事、島国の水没…。2023年の夏は思い出してもぞっとする異常な暑さでした。
   
世界の平均気温は上昇の一途です。鈍感な私でも「そろそろヤバイ」と感じます。若い世代はもっと深刻に感じています。
    
気候変動の原因は温室効果ガスの増加です。牛のゲップのメタンガスなど畜産業による温室効果ガスの排出と環境破壊も大きな要因になっています。
    
世界の人口は現在の70億人から2050年ごろには100億人になります。人口の増加を考えると、これ以上牛や豚を食べ続けるのは人類と地球の命取りになりそうです。
   
スウェーデンの高校生だったグレタ・トゥーンベリさんが2018年に国連で気候の危機について演説しました。「非常ブレーキを踏むべきときなのに、大人たちは経済成長のことばかり」とかなり怒っていました。
    
 気候変動は止まっていません。これからさらに危機を迎えることになります。食肉を減らす。できないことではありません。ヴィーガンの志望者や食肉をやめる人が増えるのは間違いなさそうです。
   
   
●外国人観光客だけの狭い顧客層。日本人ヴィーガンは?
     
東京のヴィーガンレストランには和食、野菜料理、ハンバーガー、ラーメン、カフェなどさまざまなタイプがあります。高尾山の山頂にはヴィーガンそばの店もあります。
     
一緒にしてはいけないかもしれませんが精進料理、マクロビオテック、中東料理のファラフェル、インドのベジタリアン料理なども含まれています。
     
ヴィーガンレストランに行ってみるとお客さまのほとんどが外国人観光客です。「日本人がいる」と思っても台湾の女性だったりします。日本人の場合は若い女性。しかしその数も多いとは言えません。
     
ヴィーガンレストランの弱みは顧客層が限られていることです。日本人のお客さまが増えない限り「やっぱりダメだろ。ヴィーガンレストラン」などといわれてしまうかもしれません。
     
どうしたら日本人のヴィーガンは増えるのでしょうか。
   
    
●日本のヴィーガンが増えるのは4年後か
     
「ヴィーガンはただのトレンド」、「ヴィーガンレストランもタピオカドリンクのようにブームが去れば店も消える」と思っている人もいるかもしれません。しかしヴィーガンは流行ではありません。着実に世界で広がっています。
    
 「Googleトレンド」を使うと言葉がどのように検索されているのかがわかります。
    
英語「vegan」を世界(すべての国)で調べてみると2020年の1月がピーク(100)になっています。
   
一方日本語「ヴィーガン」が日本でどうなっているかを調べてみると2023年の12月がピークになっています。世界から約4年遅れて波がきているようです。
    
つまり今年のパリオリンピックの次、2028年のロサンゼルスオリンピックのころには日本でも「私、実はヴィーガン」という人が身近に出てくるのかもしれません。
    
日本のヴィーガンレストランはそれまで待つのでしょうか。日本人ヴィーガンが自然に増えるというのは楽観的すぎます。日本人ヴィーガンを増やすいいアイデアはないのでしょうか。
   
   
●外国人もラーメンが好き。日本人もラーメンが好き
      
ヴィーガンレストランでも外国人で行列ができるほどの店もあります。ヴィーガンラーメンの店です。
     
ラーメンは外国人観光客に人気の日本食です。観光庁の2019年の調査でも「もっとも満足した食事」の2位が「ラーメン」でした。1位は「肉料理」。やっぱり焼き肉か…。まさかの神戸牛のステーキか…。そして3位が日本の代表料理である「寿司」です。ラーメンは寿司より上!です。
     
以前、インドネシアやマレーシアから来日するイスラム教徒の観光客向けの「ハラールラーメン」についてレポートしたことがありました。日本に行くなら「噂のラーメンをどうしても食べたい」ということです。ヴィーガンラーメンはこれと同じような現象だと思います。
     
もちろん日本人もラーメン好きです。日本人がヴィーガンにたどりつく入り口としてもいいものだと思います。「ヴィーガンラーメン、うまいじゃん。これなら肉なしでも大丈夫」となればヴィーガンレストランも定着すると思います。
     
日本人にも食べてもらえてヴィーガンの外国人観光客も呼びこめる。日本人のヴィーガン体験のスタートはラーメンが良さそうです。

●ヴィーガン食の弱点は日本の「うま味」で解決
      
ヴィーガンの悩みは食事が物足りないことです。わかりやすくいうと「おいしくない」。「だよね!」とあちこちから声があがりそうです。
     
パメラ・ファーガソンの『ビーガン食の栄養ガイド』にも食生活の問題として「チーズ、ジャンクフード、肉がほしい これは無理もありません。」とあります。
    
原因として「旨味(うまみ)もしくは塩と油の組み合わせを欲している可能性があります」としています。
     
味覚には5つの味があります。甘味・塩味・酸味・苦味とうま味です。うま味は日本人の池田菊苗(いけだきくなえ)が20世紀初頭に昆布から発見したおいしさの根源です。
     
その成果は「味の素」として世界へ広がっていきました。いまや世界でも「umami」という言葉が使われています。
    
うま味は主にタンパク質のアミノ酸にあります。アミノ酸は肉だけではありません。前述の昆布にはグルタミン酸、カツオ節にはイノシン酸、干しシイタケにはグアニル酸というアミノ酸が含まれています。
     
うま味は組みあわせるとよりおいしくなるという「うま味の相乗効果」もあります。日本人は古くからうま味のスペシャリストです。
  
つまりヴィーガン食に欠けるおいしさを日本の飲食技術と食材でカバーできそうです。
   
   
●ヴィーガン食のもうひとつの弱点「バリエーション」
    
 同書ではヴィーガンの悩みとして「もっと選択肢がほしい」ということも書かれています。肉や魚のない料理なら当然ですね。焼き肉もダメ、刺身もダメで目玉焼きもダメ。メニューの選択肢はかなり狭くなってしまいます。
    
 飲食店ビジネスについて考えてみると成功のための王道は新メニューの提供です。しかも連続してそれを行っていくことです。
   
 新メニューがお客さまに評価され、やがて近隣の飲食店に広がれば「元祖メニュー」の店と呼ばれます。そうなると半永久的に人気店が約束されます。お客さまは元祖メニューの店に「一度は行ってみたい」と思うからです。
      
麻婆豆腐の赤坂「四川飯店」、ポークカツレツの銀座「煉瓦亭」、ナポリタンの横浜「ホテルニューグランド」…。それぞれの店はこれら以外にも多くの元祖メニューを出しています。
     
 レシピが限られているヴィーガン料理もきっと新しいメニュー提案で突破口がみつかるはずです。
      
 日本のヴィーガンレストランがこの点で有利なのが「豆腐」の存在です。タンパク質が豊富で肉の代わりになります。豆腐はすでに「tofu」として世界で通じるようになっています。
     
森永乳業(株)の社員だった雲田康夫が1985年に渡米し、苦労してアメリカ市場に豆腐を売り込みました。「ミスター豆腐」と呼ばれ2008年には日本食海外普及功労者として農林水産大臣賞を受賞しています。
      
豆腐はアメリカでヴィーガンの食材として認知されています。さらにヨーロッパにも渡り、ドイツではオーガニックスーパーやヴィーガン食品メーカーがドイツ製の豆腐をつくっています。
     
日本には江戸時代の人気レシピ本『豆腐百珍』(1782年)以来の豆腐料理の伝統があります。また豆腐だけでなく海外ではなじみのない高野豆腐、厚揚げ、焼き豆腐、油揚げ、がんもどき、湯葉など豆腐由来の食材がたくさんあります。
     
日本の飲食店技術と食材を使えば新しいヴィーガンメニューがたくさんできるはず。バリエーションが少ないという世界のヴィーガンの悩みを解決できるはずです。
  
  
●日本のヴィーガンレストランは世界を目指せ。しかし難題も
   
うま味とバリエーションが少ないという世界のヴィーガンの深い悩みを日本の飲食店技術と食材、さらに新しいレシピ開発によって解決できそうです。
     
それを海外のヴィーガン市場で試すべきです。世界のヴィーガンレストランのなかで独自のポジションをつくれます。お客さまに技術と食材による付加価値と日本らしい経験価値を味わっていただけます。つまり、ちょっとお高い値段でも受け入れてもらえます。
     
しかしそのためには技術、食材、レシピの準備だけでは困難なようです。一橋大学の伊丹敬之名誉教授は『サービスイノベーションの海外展開』で海外市場への進出には「顧客説得の難しさ」、「供給体制づくりの難しさ」、「まず輸出という王道なし」があると指摘しています。
     
飲食店ビジネスでは、モノのように「デザインがいい」などと思ってもらうことができません。食べてみるまでわかりません。また現地のキッチンでメニューをつくるために供給体制をつくっておく必要があります。さらにクルマのように「まずは輸出」ということができません。
    
伊丹敬之名誉教授は成功のために大切なことは「コンセプト力」といっています。「世界でビッグになるぞー」という勢いだけでは長続きしないようです。コンセプトを立ち上げて、その力で進めていくということです。
    
事例のひとつとして「無印良品」が取り上げられています。無印良品は1980年に「わけあって、安い」をキャッチコピーにスタートしました。「素材の選択」、「工程の点検」、「包装の簡略化」の3つの視点による商品づくりで世界から高い評価を受けています。
    
コンセプトを中心にして組織をはじめヒト・モノ・カネ・情報を集中し、海外市場でMUJIブランドとして成功をおさめています。
    
では日本のヴィーガンレストランが海外展開するときのコンセプト力とはどんなものにすべきなのでしょうか。難しい課題です。
    
  
●もうひとつ先の「ユニバーサルレストラン」へ
   
自由が丘のヴィーガンレストラン「彩道」。HappyCowのメンバーによる投票で2019年には世界ナンバーワンに輝きました。2024年現在もナンバー2にランクされています。楠本勝三シェフは雑誌『事業構想2020年4月号』でこう語っています。
    
「アニマルフリー、アルコールフリー、五葷(ごくん)フリー。これらを使わないようにすれば理論上すべての宗教、食の禁忌に対応できます。これによって世界中の誰もが一緒に食事ができるレストランになることができる店を目指しました」
     
素晴らしい考え方です。異なる宗教、異なる信条、異なる国の人びとがともに食卓を囲むことができれば世界を平和にできます。ヴィーガンレストランは世界の市場で「ユニバーサルレストラン」というカテゴリーになるかもしれません。
    
ヴィーガンは動物への搾取と虐待からの解放からはじまりました。現在は気候変動を止めるという目的が加わり支持が増えています。
    
ここで「世界の人びとがともに楽しめる共通の食卓を提供する」というコンセプトをもつことができれば支持はさらに大きくなるはずです。
   
つまり「ユニバーサルレストラン」。これがヴィーガンレストランを世界で成功させるためのコンセプト力になります。
    
ヴィーガンの世界市場の成長は間違いありません。どんどん成長します。日本のヴィーガンレストランには世界市場での大きなチャンスがまっています。
       
      
追伸:「ユニバーサルレストラン」はここではじめて提案しました。面白そうです。「世界を平和にするユニバーサルレストラン」構想については、日をあらためてレポートしてみたいと思います。
  
  
<参考文献>
森 映子『ヴィーガン探訪 肉も魚もハチミツも食べない生き方』角川新書 2023
パメラ・ファーガソン/井上太一訳『ビーガン食の栄養ガイド』緑風出版 2023
ピーター・シンガー/児玉 聡・林 和雄訳『なぜヴィーガンか?倫理的に食べる』晶文社 2023
マレーナ・エルンマン、グレタ・トゥーンベリ/羽根 由訳『グレタ たったひとりのストライキ』海と月社 2019
菊池武顕 『あのメニューが生まれた店』 平凡社 2013
雲田康夫『豆腐バカ 世界に挑み続けた20年』集英社文庫 2015
伊丹敬之、高橋克徳、西野和美、藤原雅俊、岸本太一『サービスイノベーションの海外展開 日本企業の成功事例とその要因分析』東洋経済新報社 2017
月刊『事業構想2020年4月号』事業構想大学院大学出版部
<参考サイト>
「HappyCow」https://www.happycow.net/
「うま味調味料協会」https://www.umamikyo.gr.jp/

【苦い味が好きな人がしあわせになる「苦い物レストラン」構想】   世の中には苦い食べ物が好きという人がいます。でも飲食店で専門に出す店はありません。当たり前ですね。だれもが行きたいという店ではありません。しかし好きな人がいるなら、そして東京...
19/02/2024

【苦い味が好きな人がしあわせになる「苦い物レストラン」構想】
   
世の中には苦い食べ物が好きという人がいます。でも飲食店で専門に出す店はありません。当たり前ですね。だれもが行きたいという店ではありません。しかし好きな人がいるなら、そして東京でなら「ニッチな飲食店」としてうまくいくはずです。あまり明らかになっていませんが苦い食べ物には効用があるからです。また東京の人口1,400万人のなかに潜在的なお客さまがたくさんいるからです。ニッチな飲食店のビジネスチャンスです。(約4500字です。ホームページは「ニッチな飲食店」で検索してください)
   
1.ほろ苦い、ちょっと苦い、かなり苦い。苦い食べ物総覧
   
 苦い物って、デキる上司の小言…。そうじゃなくて苦い味の食べ物です。おもに野菜ですね。
    
思い浮かぶのはゴーヤ。別名もニガウリです。最近食べても苦くない気がします。そのほか春菊、芽キャベツ、なばな、フキノトウ、たらの芽、ゆり根など。たくさんあります。
   
苦い西洋野菜の代表はケール。青汁の原材料ですね。そのほかパセリ、トレビス、ルッコラ、クレソンなど。こちらもたくさんあります。
   
飲み物ならコーヒー、ビール、抹茶。罰ゲームのせんぶり茶は薬草ですね。ワインも苦いものもあるようです。
   
さらにチョコレート。ポリフェノール効果のあるカカオ分95%のチョコはかなりの苦さです。
   
魚の内臓類も苦味で人気です。最近食べられなくなってきたでっぷり太ったサンマの塩焼き。通はワタが好きです。アユのキモの塩漬け「うるか」。ウナギのキモヤキなどもあります。探してみると結構たくさんあります。
  
  
2.苦い味はいろいろ。理由は毒だから
    
味覚には五味というものがあります。甘味・酸味・塩味・苦味・うま味です。甘味はスイーツやデザートなど、この世の食べ物界のヒーローでヒロイン。酸味はアクセント。塩味は味付けのトップスター「いい塩梅(あんばい)にしてや」です。
   
うま味は日本人の池田菊苗(いけだきくなえ)が20世紀初頭に発見したおいしさの根源です。その成果は「味の素」として世界へと広がっていきました。いまや世界でも「Umami」という言葉で使われています。
   
苦味はほかの4つに比べるとあまり話題になりません。好きな人は少ないでしょうし、子どもなら「キライ」ときっぱり言うでしょう。
   
ヒトが苦味を感じる物質は酸味や塩味のように単純ではありません。下の表のように酸味や塩味に比べると苦味物質はたくさんあります。「苦い味はもともと毒の味だから」というのが一般的な説明のようです。毒ならば食べ物の苦い味について敏感にならざるをえません。
   
死ぬ危険のある毒物には植物ではトリカブト、きのこではドクツルタケ、魚介類ではフグなどいろいろあります。ヘビ、カエル、昆虫にも猛毒のあるものがあります。
   
生物以外にも青酸カリや水銀などの化学物質、暗殺好きのロシア人スパイが得意の毒物もあります。毒物が多様であることから苦味を感知する能力も発達したようです。
   
一方で「良薬は口に苦し」で苦いものは薬にもなります。チンパンジーのような動物たちも身体の変調を感じると苦い植物を食べることがあるようです。また冬眠明けの熊は整腸作用があるというフキやフキノトウをたくさん食べるようです。
   
私たちが苦い物が食べたくなるのは、もしかしたら身体のどこかに不調があるのかもしれません。動物のように苦味が薬になることを感じている人がいるようです。ここに「苦い物レストラン」のビジネスチャンスがあります。
  
  
3.苦い食べ物の市場成長性。ケールの栄養価と苦い野菜の食物繊維
   
苦い食べ物でビジネスができるのか心配です。市場として少しでも存在する価値があるのか、さらにそれが成長するのかが知りたいところです。
  
 注目すべき野菜はケールです。スーパーフード(栄養成分が豊富でカロリーが低い)とよばれ、アメリカでは最近人気が高まっています。
   
日本では青汁のもと。かつては「まずい!もう一杯」のCMで有名になりました。現在ではサラダ用のケールをスーパーで見かけるようになりました。野菜としては珍しく機能性表示食品として厚生労働省に認定された品種のケールもあります。
   
ケールはキャベツやブロッコリーの仲間。古代ギリシャでは薬草とされていたようです。食物繊維、ビタミン類も豊富。栄養価の高さが評価されているようです。
    
後述しますが、ケールだけでなく苦い野菜は食物繊維を多く含みます。多くの人が食物繊維で腸内環境を整えることに熱心になっています。これから苦い野菜は消費量が伸びるものと期待できます。
   
   
4.「苦い物レストラン」構想。ターゲットはストレスを感じる人
    
ケールで「市場の成長性が見えてきた」として具体的に「苦い物レストラン」を構想しましょう。
   
まず一番はターゲットです。マーケティングの一番大切なもののひとつです。経営学の神さま、ドラッカーも「顧客を創造すること」といっています。だれがお客さまなのか。これがABCのA、いの一番です。
   
ストレスをかかえる人たち、ココロとカラダに負荷のかかる人たちがお客さまになりそうです。
   
昭和のニオイのする男たちに囲まれてガラスの天井を打ち破ろうとする女性かもしれません。新しい資本主義とDX・AIに翻弄される若いひとたちかもしれません。
  
ストレスを減らすためには睡眠、運動などが重要です。さらに食べることでもストレスを減らせます。腸の状態を良くすることで脳の機能にも良い影響を与えます。「脳腸相関」です。
    
その腸活、腸内環境を整えるためには食物繊維です。パセリ、フキノトウ、芽キャベツ、ゆり根、なばな、たらの芽など苦い野菜はほかの野菜に比べて食物繊維量が多い傾向にあります。もちろんケールにも十分含まれています。
   
ターゲットは潜在的に食物繊維をもとめる人たちになります。
    
    
5.「苦い物レストラン」の4P。苦い野菜の新メニューと苦味のコンテンツ
   
マーケティングの基本「マーケティング・ミックス」の4Pつまり製品(プロダクト)・場所(プレイス)・価格(プライス)・プロモーションでさらに店について考えてみましょう。
   
(1)製品(プロダクト):苦い野菜の新メニュー開発
ケールの新しいメニューの提供がポイントになりそうです。定番のケールをつかった野菜サラダも重要ですが、レストランということならケールと肉や魚を使ったメニューがほしいですね。
    
アメリカで人気が高まるケールなのでニューヨークやロサンゼルスでも料理開発が進んでいるかもしれません。でも世界の観光客が注目する日本の飲食店ビジネスです。見た目も美しくおいしい日本的な料理を開発したいところです。
   
もし人気のケールメニューができたら元祖メニューの店になれます。元祖メニューの店はニッチな飲食店の成功パターン。最強のプラチナカードです。
    
元祖メニューを目当てに半永久的にお客さまがやってきます。麻婆豆腐の「四川飯店」。トンカツの「(銀座)煉瓦亭」。たらこスパゲッティの「壁の穴」。元祖メニューの店は長寿で人気店です。よその店が上手にマネしても元祖にはなれません。
    
ソフトドリンクは苦みの効いたコーヒーと抹茶。カフェイン、タンニンが苦味のもとです。カフェインには覚醒を促す効果が期待できます。
   
アルコールならビール。苦味はホップにあります。ビールの保存性を高めるものですがホップの成分にも健康機能があるようです。
  
またビールの苦みは「IBU」という1から100までの指数で示されます。一般に市販されているビールは10~20ぐらい。海外のビールには100以上のものもあるようです。苦いブランドのビールを提供できます。
   
デザートはビタータイプのガトーショコラ…。いやいや最後のデザートだけは苦味なしの超甘いスイーツがいいかもしれません。
      
(2)場所(プレイス):東京の都心。イノベーターが住む街
立地は東京の都心がいいですね。革新者(イノベーター)がいるからです。「苦い物レストラン」のような風変りな店、ニッチな飲食店はイノベーターがまっさきに試すことになるからです。
    
 イノベーターは新しいことや新しい製品が大好きです。苦いサラダを口にして「ニガ~い!」とSNS叫んでくれるはずです。そこから真に苦い物が好きな人へと伝わっていきます。
     
 イノベーター理論では全体の2.5%の人をイノベーターとしています。東京都の人口は約1,410万人(2024年1月)。となると35万人の人が初期の来店者になる可能性があります。人口密度の高い東京の都心が最適です。
     
(3)価格(プライス):価格競争しない
珍しい食材をそろえることになります。それなりの価格になるはずです。たとえサラダであっても他の飲食店との価格競争は考えません。ニッチな飲食店ならば競合はありません。十分な利益のでる価格に設定できます。
    
(4)プロモーション。店の名前と苦い食べ物コンテンツ
プロモーションの筆頭は店の名前です。ニッチな飲食店に広告予算はありません。店の名前こそ最大のプロモーションです。名前で店のすべてがわかり、一度聞いたら忘れられない店名が必要です。
    
 5分で考えてみました。キャッチフレーズ付きで二つ提案です。
    
最初は<苦い味こそ楽しい「苦楽苑」>…「きみと、一生苦楽をともにしたいんだ」なんて…。すべりそうですね。
   
次は<苦い味こそ天国「レストラン ビターヘブン」>。…「どうだ、この苦さ天国気分だろ」なんて…。罰ゲームの会場になりそうですね。…もっといいアイデア考えて出直します。
    
 ここまで書き進めてきましたが苦味の情報は少なく、書かれている本もあまりありません。しかし苦い味は多様でそれぞれに効能がありそうです。珍しい情報を集めて適切にお客さまに知らせるべきです。
    
 店のWebサイトやSNSで苦味について正しく伝えていくことで店の知名度があがるはずです。知名度があがれば苦味好きの人がやってきます。
    
世の中の役に立つ情報であればGoogleでの検索ランクも無理なSEOをしなくても上がっていくはずです。店内でもこの情報をわかりやすく伝えるのが大切なプロモーションだと思います。
   
   
6.まとめとして。ニッチな飲食店の成功戦略はターゲット
    
このサイトでは個人店がとるべき道について語っています。「ニッチな飲食店」を目指すべきだということです。事例で紹介しているように、ニッチならば小さな個人店でも大きな成長の可能性もあります。日本の飲食店なら海外からも注目されます。
    
特に東京ならばチャンスがあります。アマゾンのジャングルのような濃密な環境では多様な生物種が存在できます。生態学の知見です。実際に都市ジャングル東京にはびっくりするようなニッチな飲食店が存在します。
   
外食チェーン店はサービス技術を高めて、おいしいものをそれなりにおいしく手頃な価格で提供しています。お客さまは「できるだけ多くの人」です。
   
一方で個人店は外食チェーン店と同じでは厳しい状況に追い込まれます。ヒト・モノ・カネ・情報などの資源がないからです。チェーン店ではどうしてもできないことに心血を注ぐべきです。それはターゲットを特定のお客さまに絞ることです。
   
苦い食べ物に絞った飲食店ビジネス。お客さまが想定できます。苦い食べ物の効用に着目すれば飲食店ビジネスとしてチャンスがあります。
   
    
私も苦い物が大好きです。マイブームはセロリの葉の塩炒めです。妻からは「貧乏くさい」と言われます。本当は「貧乏くさい」じゃなくて「貧乏」かもしれません。
    
   
<参考文献>
斉藤幸子・小早川達編『味嗅覚の科学: 人の受容体遺伝子から製品設計まで』朝倉書店 2018
『サライ』「苦いものは、体に旨し」小学館 2004年7月15日号
阿部 清『野ブキ・フキノトウ―株増殖法・露地栽培・自生地栽培・促成栽培・加工』農文協 2004
中村好男監、タニカワ久美子『職場のメンタルヘルスケアと実践 ストレス対処のための運動・栄養・休養』講談社2018
<Webサイト> 
Harper‘s BAZZAR『栄養士が推薦!腸内環境を整えるのに効果的な「苦い」食べ物13』
農畜産業振興機構『苦いからおいしいへ~今、注目されるケール』新田美砂子
ビール醸造組合『飲酒(ビール)の効用:ホップ成分の効果』
ヤクルト中央研究所『健康用語の基礎知識:脳腸相関』

【茶道にならって和食の道を開く「和食道レストラン」戦略】     料亭・割烹(かっぽう)をはじめ天ぷら、そばなどの和食の市場規模は減少を続けています。また日本人の主食であるコメの消費量も減少しています。そこで農林水産省は懸命の努力で和食をユ...
02/01/2024

【茶道にならって和食の道を開く「和食道レストラン」戦略】
     
料亭・割烹(かっぽう)をはじめ天ぷら、そばなどの和食の市場規模は減少を続けています。また日本人の主食であるコメの消費量も減少しています。そこで農林水産省は懸命の努力で和食をユネスコ無形文化遺産に登録しました。一方で日本の食事は外国人観光客にとって大きな魅力となっています。しかし人気の日本食も和食の店が減り続けてしまうなら危機です。このままではファストフードの店ばかりになってしまいます。問題解決のお手本は「茶道」にあります。和食の店も「和食道」を確立させて道ビジネスとして日本から世界市場に飛躍できるはずです。
(すいません約4500字です。ホームページは「ニッチな飲食店」で検索してください)
     
●減り続ける和食店。いつか消えてしまうのか
    
飲食店ビジネスで成長しているのはほぼファストフードだけです。料亭・割烹など伝統的な和食の店はコロナ禍からの回復が思わしくありません。売上が大きく減少しています。
 
しゃぶしゃぶ・すき焼きなどの肉系の店は堅調です。しかし天ぷら屋さん、絶滅危惧種が食材のうなぎ屋さん、図にはありませんが回らないすし屋さん、うどん・そば屋さんも減少が続いています。
 
減少の理由は価格も含めて「それが食べたい」と思う人が減ったからです。また少子化、高齢化、人口減少などもあります。ランチでサバ塩焼き定食を食べて、夜は刺身で一杯飲んでいたおじさんたちもリタイアしています。人が減るということは店がなにもしなければお客さまが減っていくということです。
    
さらに悪いことに日本人のお給料が減り続けています。バブル崩壊後の1995年からほぼ一貫して下がっています。トホホです。お金がないなら和食店よりも価格の安いファストフードに行ってしまいます。いまのままでは和食店が消えていってしまうかもしれません。

●和食のユネスコ無形文化遺産登録。本音は「もっとおコメを食べて」
    
2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。農林水産省の努力が実りました。
   
和食には食材の多様性、魚や野菜で健康的、四季のうつろいの表現、日本の年中行事との関わりなどの特徴があります。その根底には「自然を尊ぶ」日本人の精神性があります。これを和食文化として世界が認めてくれました。
   
一方で「和食ってなに?」という疑問もあります。農林水産省でも「和食文化に明確な定義はない」としています。京都の高級料亭の食事も和食ですがラーメンもカレーも和食です。和食を定義するのは国としても難しいことです。
   
農林水産省が無形文化遺産登録に奔走したのは米の消費量の減少が心配だったからです。農林水産省の「米の需要量」のデータをみると1996年の900万トン代から2022年の600万トン代まで、ほぼ一貫して減少しています。このままなら日本人は米を食べなくなってしまうかもしれません。
    
 邪馬台国の卑弥呼のころから日本を支えてきた伝統的な米づくりが絶えるとなると大事件です。なんとか和食を復活させて「ごはん」をたくさん食べて欲しいというのが国の本音だと思います。

●外国人に人気の日本の食事。日本の食文化は「たまごかけごはん」?
     
 一方で日本の食には追い風が吹いています。外国人観光客です。来日観光客数はコロナ禍から復活して来年2024年は2019年の3188万人を超えるはずです。さらに円安です。物価高で私たちには困った円安ですが、外国人観光客にとっては追い風に強力な扇風機です。
   
外国人観光客の来日の目的は日本の食事です。観光庁の調査でも明確に示されています。日本の飲食店ビジネスが世界で認められはじめています。しかし最近は来日が二度目、三度目のリピーター客が増えて少し様子が変わってきているようです。
 
先日NHKのニュース番組で外国人観光客の「食」をめぐる“新たな観光”という特集がありました。「たまごかけごはん」を食べて「オイシイ」というオーストラリア人女性が登場しました。イタリア人観光客は下町の惣菜屋さんでイカフライを食べて「オイシイ」といっていました。
   
オーストラリアに帰って「生の卵って、おいしいのよ」と友だちに話してドン引きされるかもしれません。「おいしい」は個人の好みなのでいいのですが、これが日本の食文化と思われるのは残念です。
   
文化という以上、歴史から培われた背景が必要です。「たまごかけごはん」もイカフライもサブカルチャーとしての背景はありますが和食文化にはまだなっていないはずです。
   
外国人観光客のリピーターは「寿司、ラーメン、てんぷらはもう食べた。ありきたりではない深い日本の食文化はどこにあるのか」と熱心に探しています。これを考えると潜在的なニーズは大きいと思います。発掘されていない巨大な市場があるということです。
   
歴史に裏打ちされた和食の文化を和食の店でたっぷりと伝えたいものです。和食の文化は本やネットでは語られていても和食の店では表立って語られていません。
   
NHKの番組では外国人旅行客が長野県で凍(し)み豆腐づくりを見学していました。そこで宿泊して地元の伝統料理をつくる体験して食事していました。立派なビジネスになっています。和食レストランも事業化によってお客さまを集めるチャンスがあります。
   
問題は和食でどうやってそれを事業化するかです。ヒントは「茶道」にあると思います。

●「道」をつくる。茶道は総合芸術ビジネス
    
 茶道はビジネスモデルとして完成されています。「わび・さび」や「一期一会」などの哲学や美学があり、鎌倉、安土桃山時代以来の歴史があります。
   
また流派、茶室、茶道具、作法など茶道を支える「道」のノウハウがあります。その文化的価値から世界中にファン(顧客=市場)がいます。これを見習って「和食道」をつくるべきです。
   
茶道にも懐石料理があります。しかし和食市場のひとつとして減少しているならお客さまの要求(ニーズ)を満たしていません。この課題を解決するべきです。
   
 ここで改めて茶道についておさらいです。茶道は鎌倉時代に禅宗を伝えた栄西が中国から持ち帰った茶からはじまったといわれています。
   
その後、室町後期から安土桃山時代にかけて武野紹鴎(たけのじょうおう1502年‐1555年)が茶道を確立。さらに弟子である千利休(せんのりきゅう1522年‐1591年)が陶芸、書道、華道なども融合させて総合芸術として完成させました。
   
利休は織田信長や豊臣秀吉の茶の相手(茶頭)をするだけではなく政治的な顧問としても活躍。残念ながら最後は秀吉とケンカ別れとなったようで切腹させられてしまいました。
   
 江戸時代以降も茶道は武士のたしなみや良家の子女の教養として愛され続けました。利休の家系からは「表千家」「裏千家」「武者小路千家」が生まれ現代に至るまで茶道の伝統が引き継がれています。
    
茶道では「道」のビジネスモデルが完成しています。学びたい人は門人として入門から教授まで非常に多くの階段が用意されています。この階段をあがることが楽しいことでもあるはずです。「和食道」もこの茶道の文化事業をモデルとして見習うことができます。

●新飲食店ビジネス「和食道レストラン」をつくる
     
「食べるだけの和食店」から「和食道レストラン」としての文化事業に進化させたいものです。茶道を手本にして和食道レストランづくりをマーケティングのプロセスで考えると以下のようになるはずです。
   
(1)セグメント・ターゲティング・ポジショニングで考える
セグメントは飲食店カテゴリーのなかの伝統的な和食。わかりやすく言うならばファストフードチェーン店の対局です。和食道の具体的なカテゴリーは「料亭道」「すし道」「天ぷら道」のようなものになります。
   
ターゲットは前述のように外国人観光客です。また和食は海外でも人気が高まっています。農林水産省によると海外の日本食レストランは2006年に約24,000店でしたが2013年には55,000店になっているとのこと。海外市場での展開を前提にして外国人観光客に焦点をあてます。
   
ポジショニングとしては飲食店ビジネスのカテゴリーではなく茶道や武道などの「道」ビジネスのポジショニング・マップに置いてみます。やや無理矢理ですが、だれにでも親しめて活動的なポジション(右上)に空きがあります。

(2)マーケティング・ミックスで考える
    
マーケティングの基本、4Pつまり製品(プロダクト)・場所(プレイス)・価格(プライス)・プロモーションで構成を考えてみましょう。

①製品(プロダクト):宗家・家元が主力商品
    
創始者としての宗家。流派を束ねる家元が必要です。和食のメニューももちろんですが、和食づくりを担う人が製品そのものです。宗家となり流派を起こし家元になるべきです。

茶道でも三つの千家以外にも100以上の流派があるといわれています。「松本善甫(伝酢飯発案者)流 すし宗家」「信州・本山宿(伝そば切り発祥地)流 蕎麦家元」…。なんだかよさそうです。
 
②場所(プレイス):和食道の起点としての店
   
 前述のように茶道にも懐石料理があり、和食の原点ともいえます。しかし茶道と同じハードルの高い作法など気軽なものとはいえません。
   
作法の壁を低くし、それでいて日本の食文化に触れられること。また和室、食器、着物、書、生け花、絵画など総合芸術といわれる茶道を取り巻く日本の文化も生かしたいものです。外国人観光客を魅了してやまない日本の食文化を提供しなければ「和食道」の意味がありません。
 
③価格(プライス):価格競争をしない
   
宗家・家元の人件費、食材はもちろん店の構えなどを考えるとそれなりの価格になるはずです。もちろん価格競争は考えません。
 
④プロモーション:「道」の事業化としての資格制度
    
 外国人向けの多段階の資格システムです。茶道と同じように授業料による収入で「和食道レストラン」を経済的に支えます。階段を昇りつめ、門人として免状をもらえれば海外で和食の店を出せます。
    
テキストが必要になります。和食について文字になっていないこと(暗黙知)をだれもが知ること(形式知)にする必要もあります。一子相伝や「親方の技術を盗んで学ぶ」といような旧社会のやり方ではうまく広がりません。
    
テキストを含め資格制度の仕組みをつくることが事業化にとって一番大変な作業になると思います。

●まとめ。日本の和食店ビジネスから世界の和食文化ビジネスへ
    
 人口減少の日本で、日本人にもう一度和食好きになってもらうのは困難です。和食道ビジネスを完結させるには日本の人口1億2千万人では足りません。日本の食に関心が高く日本の食文化の価値を認めてくれる外国人や海外市場に焦点をあてるべきです。
    
「和食道」が確立できれば、日本文化のもとになっている茶道をはじめ華道、書道、武道などさまざまな「道」ビジネスといっしょに活動ができます。
    
観光客として来日し「和食道」に興味をもってもらい、参加・入門してもらう。何度か来日するたびに和食道の階段を上っていき、やがて自国での和食道レストランをオープンさせる。そこで和食の文化にふれた人が、日本にやってきて再び和食道レストランで学ぶ…。日本人だけでなく外国人を通じて和食文化が世界へと高まっていくことが期待できます。
   
   
    
私も和食継承のために毎日努力を欠かしていません。納豆を毎朝、毎食グルグルと200回かきまぜてから食べることにしています。日本の食文化の継承は目がまわります。
  
  
   
<参考文献>
『外食産業マーケティング便覧2021No2、2022No2』富士経済 2022、2023
『「和食」を未来へ』農林水産省「和食」の保護・継承に向けた検討委員会 2015
阿古真理『「和食」って何?』ちくまプリマー新書) 2015
NHK『サタデーウォッチ9』2023年12月23日
清原なつの『千利休』本の雑誌社 2004
竹田理絵『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』自由国民社 2021

【来年も未来も暑い。亜熱帯国ジャパンの「冷や飯レストラン」構想】    「冷や飯レストラン」は書いておきながら名前が良くないですね。「冷や飯」は社会人としてたくさんいただきましたから。冗談ではなく身体を冷やすための食事の店が必要になりました...
19/12/2023

【来年も未来も暑い。亜熱帯国ジャパンの「冷や飯レストラン」構想】
   
「冷や飯レストラン」は書いておきながら名前が良くないですね。「冷や飯」は社会人としてたくさんいただきましたから。冗談ではなく身体を冷やすための食事の店が必要になりました。2023年の暑さなら日本はもはや亜熱帯国です。これまでとは違う気候変動に対応するレストランが必要です。いまから頑張れば2024年の夏に間に合うかもしれません。
(ムダに長い約5000字。noteにも記事あります。HPは「ニッチな飲食店」で検索してください)
   
●2023年夏。ソーメンが食べたかった
    
 2023年の猛暑中、私のブログのアクセスが急増、爆発しました。タイトルが「ラーメン屋がたくさんあるのにソーメン屋がない」だったからです。
  
 みなさん「暑い!だからソーメン!」。そう思って探されたようです。残念ながら私のブログにはソーメン屋さんのニッチ・マーケティングのことしか書いてありません。すいません。「クソおもしろくないサイト」とガッカリされてほかのページに移ったはずです。
  
 東京都内でもソーメンの専門店はわずか数軒です。多くの人が猛暑のなかで冷たいソーメンの店を探したはずです。しかしソーメン店はほとんどなかった。つまり飲食店はビジネスチャンスを逃したということになります。
    
●気候が変われば食べ物が変わる。平成のコメ騒動
    
 気候変化と食べ物で思い出すのは「平成のコメ騒動」です。コメ騒動といっても1918年のシベリア出兵による米価高騰の「コメ騒動」とは違います。1993年、平成5年におきた米不足のことです。
   
 1993年は50年に一度といわれる冷夏でした。原因は20世紀最大規模といわれる1991年のフィリピンのピナトゥボ火山の噴火あるいは南米沖の海水温が高くなるエルニーニョ現象ともいわれています。
   
 1993年の夏は長雨で一度出された梅雨明け宣言が取り消され、さらに台風が6個も上陸。異常な冷夏で米の収穫量(作況)も例年の7割程度となってしまいました。戦後最悪の米の凶作で日本中が大騒ぎになりました。
   
 急遽タイなどから米を輸入。しかしタイのみなさんには大変申し訳なかったのですが長粒種のタイ米は日本人の口にあわず「道端にタイ米が捨てられていた」などと、これもまた大騒ぎになってしまいました。幸い翌年には暑い夏がもどり米不足はなんとか解消されました。
   
 温室効果ガスによる温暖化で気温が上昇しています。気候の変化によって食糧の生産は影響をうけます。食糧の供給が変われば私たちの食べ方も変わるはずです。

●気温があがると、なにが食べたくなるのか?

 食べ方ということなら「ウェザー・マーチャンダイジング」が思い浮かびます。気温によって販売する商品を考えることです。コンビニやスーパーの販売データと気温の変化をもとに、どのような商品を提供するのが適切なのかが研究されています。
   
 夏をすぎて気温がさがりはじめると最低気温が25℃でもコンビニではおでんが売れ始めます。また夏場に最高気温が30℃を超えるとアイスよりもかき氷が売れるようになります。
  
 外食ならば気温が上昇する春夏(昇温期)で最高気温が25℃を上回ると冷奴、ざるそばなどが売れ、「とりあえず生!」も売れるようです。さらに最高気温が30℃を上回ると冷麺などが売れるようです。
  
 ところが2023年の夏は連日35℃以上でした。それどころか外出もままならない40℃近くにもなりました。ウェザー・マーチャンダイジングも根本的に考え方を変えないと対応できないはずです。

●気候変動で気温上昇。飲食店の新しいビジネスチャンス

 「温暖化などない」という人も少なくなりました。この200年で急速に温室効果ガスが増えたのは間違いありません。石炭と石油を燃やし続けた人類の活動によるものです。これからも気温の上昇はほぼ間違いありません。
   
 暑いと酸味のあるものでサッパリ食べたい。辛いもので汗をかいて体温を下げたい。体温があがる高カロリーのものは食べたくないなどと考えるようになります。
  
 2023年は12月でも気温が25℃を越えました。Tシャツの人もいます。これまでの気候と違います。体温を下げるための食事や暑さ対策の食事が必要です。飲食店の新しいビジネスチャンスが生まれています。

●亜熱帯国ジャパン「冷や飯レストラン」4つの試案

 気候変動を前提に新しい飲食店ビジネスについて4つのアイデアを考えてみました。
  
(1)「冷食レストラン」。一年中冷たい料理の専門店

 暑ければ冷たい食べ物です。冷たい料理の専門店。暑さはもはや3月ごろからはじまり11月まで続いています。冷たい料理専門でも一年間を通した営業も大丈夫です。
   
 最近、ラーメン屋さんのメニューで「冷やしラーメン」が目につくようになりました。人気のラーメン業界です。これからこのメニューは増えていくはずです。
   
 冷たいメニューなら冷やし中華、冷麺、冷製パスタや冷や汁などもあります。お茶漬けに氷水をぶっかけて食べるCMもありましたね。
   
 冷たいメニューの専門店はどれも可能性があると思います。しかし、ほかの飲食店でも出しているメニューならば「競合」になります。つまり専門店化しても競争になってしまい価格競争で厳しい状況になるはずです。さてどうするかです。
    
 ヒントはかき氷で有名な谷中銀座の「ヒミツ堂」。かき氷専門店ですが真冬でも行列の人気店です。理由は高品質の食材を使った新しいメニューの連続提案です。したがって価格も2,000円近い値段になっています。ほかの店がマネできません。
   
 すでにある料理でも新しいメニューとして提案すること。「新メニュー登場!」は飲食店の王道施策です。

(2)「日本式台湾料理レストラン」。台湾料理を日本人向けにローカライズ

 日本列島の南に台湾があります。北緯23度の北回帰線付近。まさしく亜熱帯です。暑いときの食事の手本なら台湾です。
   
 インドもサウジアラビアも暑い国です。しかし日本人の味覚にピッタリとはいえません。台湾と日本はしょうゆなど「うま味文化」を共有しています。その台湾料理を日本人向けにアレンジ(ローカライズ)することで暑さに対応する飲食店ビジネスができるはずです。
   
 台湾は美食の国としても有名です。台北の一人あたりのミシュランの星の数は東京やニューヨークに負けていません。またインドに次いでベジタリアンが多いことでも有名です。
   
 1949年に中華人民共和国が成立。政治的思想を異にする人たちが中国の本土から台湾にやってきました。北の北京料理、東の上海料理、南の広東料理、西の四川料理なども料理人とともにやってきました。これが台湾のおいしさの源にもなっています。
   
 参考にするなら赤坂「四川飯店」の創業者の陳建民さん。戦後、中国四川省から日本にやってきました。とびきり辛い四川料理を日本人向けにアレンジ(ローカライズ)。麻婆豆腐・担々麵・回鍋肉・エビチリソースなどいまの日本の中華料理になくてはならないメニューの多くを考案しました。偉大な功績です。個人の気持ちですが神社をつくってお祭りしたいぐらいです。
  
 元祖メニューの店になれば、その地位は絶対です。「四川飯店」は元祖メニューの店として3代目まで人気店として引きつがれています。
   
 亜熱帯の台湾料理を日本人にあわせてアレンジすることで新しい日本の食文化が生まれそうな気がします。

(3)「熱中症対策レストラン」。健康重視の65歳以上がターゲット

 日本の65歳以上の人口は約3,600万人。全人口の約30%です。石を投げれば当たるはずですが…逮捕されちゃいますね。ターゲット層は厚いということです。
   
 65歳以上ならば時間も生活も比較的余裕があります。なによりも健康に大きな関心があり、夏の熱中症対策も心がけているはずです。
  
 熱中症はひどい場合には死亡します。その死亡者の多くは65歳以上です。熱中症患者数は増加傾向です。2023年の統計はまだ発表されていませんが、ことしの暑さなら減っているとは思えません。
    
 熱中症対策にはいくつかポイントがあります。アルコールやカフェインなどをひかえて脱水がおこらないようにする。汗などで失われるナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル分を補給する。また抗酸化作用のあるビタミン類も大切です。さらに高齢者は筋肉量の低下で筋肉中の水分が保持できにくくなります。筋肉維持も重要です。
   
 「熱中症対策レストラン」は水分やビタミン・ミネラルを補給する食事の提供と筋肉量を増加させるための良質なたんぱく質の食事を提供することが基本になるはずです。
   
 40℃近くになる真夏は「クーリングシェルター(涼みどころ)」として開放できれば理想的です。ミネラル・ビタミン補給のドリンクを飲みながら高齢者仲間でおしゃべりができるオープンな飲食店があってもいいはずです。

(4)「気候の危機レストラン」。気候変動の緊急停止を訴える

 たったひとりで「気候のための学校ストライキ」を行って世界から注目されたグレタ・トゥーンベリさん。毎週金曜日に学校を休み、ひとりでストックホルムの議会前で気候危機を訴え続けました。
   
 2018年12月には国連で各国の政治家たちにむかって厳しく演説しました。以下一部引用です。

あなたたちは人気を失うのが怖いので、エコで永続的な経済成長のことしか語りません。非常ブレーキを踏むしか選択肢はないのに、あなたたちはこの惨事を招いた考えをもっと推し進めることしか話しません。(中略)
2078年に、私は75歳の誕生日を祝うでしょう。もし私に子どもがいたら、一緒にその日を過ごすでしょう。彼らはあなたたちのことを尋ねるかもしれません。まだ時間に余裕があるうちに、なぜ何もしなかったのかと。あなたたちは、自分の子どもたちを何よりも愛していると言いながら、実際には子どもたちの未来を奪っているのです。(『グレタ たったひとりのストライキ』海と月社より)

 もうすぐ温暖化が後戻りできなくなる。ゆっくりしている場合ではなく非常ブレーキを踏むときだと怒っています。科学の声を聴くことと社会のシステムを変えることだと主張しています。世界中の若いひとたちが賛同しました。
   
 温室効果ガス排出要因の3分の1が食べ物によるものとされています。牛肉、豚肉の生産などによる排出です。飲食店ビジネスも「おいしい食事をおなかいっぱい」という考え方にブレーキを踏む必要があります。豆腐や大豆たんぱくなどを使い温室効果ガスの排出を抑える新しいメニューを提供する飲食店をつくるときです。
   
 気候変動に関心をもつコアな若もの層の支持をうけられるかもしれません。ニッチな飲食店で経営は大変かもしれません。しかしこのレストランから新しい気候変動への活動が生まれるかもしれません。
  
●まとめ。気候が変われば食べ物が変わる。食べ物が変われば社会が変わる

 1789年のフランス革命。はじまりは1788年の高温と少雨でした。乾燥によって小麦の収穫量が平年の60%になり小麦価格は急騰。翌年にはパンが不足しました。
   
 パリ市民の不満はルイ王朝にむかって爆発。マリー・アントワネットが本当に「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」と言ったのか、よくわかりませんが革命になりました。この革命で社会は大きく変わりました。
   
 1845年のアイルランドの夏は日照が少なく低温でじめじめした湿潤の状態が続きました。やがてジャガイモに疫病が発生。貧しい人たちの主食であったジャガイモが不足しました。しかも生産性を高めるために全土でほぼ同じ品種だったために被害が拡大。飢饉になりました。
   
 人口850万人のアイルランドで100万人が餓死し100万人が国外に脱出したといわれています。アメリカにも多くの人が移民としてわたりました。その子孫のひとりが合衆国第35代大統領のジョン・F・ケネディ。世界の政治を動かしました。
   
 世界を動かすということではハンバーガーの「マクドナルド」の創業者マクドナルド兄弟もアイルランドの移民の子どもでした。
  
 気候の変動は食べ物に影響をあたえます。食べ物の変化は社会も動かすことになります。2023年の夏の暑さも一時の気候の変化ではなく、新しい飲食店ビジネスと新しい社会のはじまりであるはずです。
   
   

 私は妻の気候変動にも注意しています。賛同される方も多いと思います。ときに真夏でも震えがとまらない寒さを感じることもあります。「あれ、またオレなにかやっちゃった?」。

<参考文献>
常盤勝美『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる: 基礎から学ぶウェザーMD』商業界 2018
田家 康『異常気象で読み解く現代史』日本経済新聞出版 2016
三宅康史、清水敬樹、小田泰崇、藤田基、神田潤ほか『医療者のための熱中症対策Q&A』日本医事新報社 2019
マレーナ・エルンマン、グレタ・トゥーンベリ/羽根 由訳『グレタ たったひとりのストライキ』海と月社 2019
クライメート・リアリティ・プロジェクト・ジャパン編、平田仁子ほか『気候変動を学ぼう: 変化の担い手になるために』合同出版 2023
田家 康『異常気象が変えた人類の歴史』‎ 日経BPマーケティング 2014

【やってきた貧困日本の時代。「コラボ給食チェーン店」大繁盛の予測】       おにぎり屋さんがブームです。「おいしいから」ということもあります。しかし本当は値上がりしたパンやパスタよりも低価格でソコソコに満腹するからです。日本は貧しくなり...
22/11/2023

【やってきた貧困日本の時代。「コラボ給食チェーン店」大繁盛の予測】
      
 おにぎり屋さんがブームです。「おいしいから」ということもあります。しかし本当は値上がりしたパンやパスタよりも低価格でソコソコに満腹するからです。日本は貧しくなりました。しかし急にではありません。気がつけば20年以上前から進んでいました。もし超低価格の飲食店があれば救われます。給食と外食のコラボでできそうです。日本社会の先行きを考えるとビジネスの機会(チャンス)です。それだけではなく社会的意義のある飲食店ビジネスになりそうです。(本文約3500字)
   
  
●100円ショップのダイソー。生活用品のあらゆるものを
 食料品の値上がりは困ったものです。私の大好きなヨーグルトは価格と容器が同じままで中身が減りました。こんなとき100円ショップは強い味方です。
    
 ダイソーの売り場にいくと「これが100円で買えるの?」と思うものがたくさんあります。この価格は自社開発商品と多店舗化による規模の大きな生産で達成できています。
   
 ダイソーの店舗数は国内4,139、海外2,312(会社案内2023年3月期)と増え続けています。「日本発のグローバル小売業」がメッセージ。世界でも低価格のワンプライス商品が支持されています。
    
 100円という低価格はお金に余裕のない人にはありがたい価格です。ダイソーの売上高が増加しているということは貧しい日本人が増えているということでもあります。

   
●消費しないでシェアする社会。お金を節約する必要性
 Z世代などともいわれる若い世代は消費が少ない世代です。そもそもお金をもっていません。しかし困りません。お金を使わなくてもやっていけるからです。
   
 車は買うよりも借りる。ファッションは古着屋さん。売ったり買ったりは「メルカリ」。個人のスキルを売買する「クラウドワークス」や「ビザスク」もあります。国立科学博物館が話題になったクラウドファンディングもあります。買わないでシェアする経済の時代になりました。
  
 消費、消費、消費と人びとをお金に駆り立てる資本主義社会。荒んだ社会がシェアで少し改善するようにも見えます。しかし本当は私たちが貧しくなっただけです。しかもそれはさらに悪化しています。
   
   
●多くの人が貧しくなった日本。貧困層は15%
 おにぎりブームもダイソーもシェアする経済も貧しくなったことが要因と考えられます。
   
 総務省の「国民生活基礎調査」でもわかります。国民の約7分の1、約15.4%(2021年)は貧困層です。1985年は12.0%ですから貧困層は増えています。
   
 所得は上がっていないどころかずっと下がり続けています。2022年の世帯の平均所得は545万7千円。しかし「平均」だけでは正しくありません。一般の人10人と所得が200億円ぐらいある孫正義さんの11人の平均所得を計算すると18億円になってしまいます。真ん中の6人目の人の額「中央値」が納得できる数値です。
    
 2022年の世帯所得の中央値は423万円です。平均値545万7千円よりも100万円以上低くなります。また1995年の中央値は545万円でしたから2022年までに122万円も少なくなっています。ずっと下がり続けてきたのです。
    
 内閣官房が発表した大企業の財務動向を見てみます。大企業でも人件費は20年間で少し減っています。かたや企業の内部留保、いわゆる貯金は約3倍にもなっています。会社はお金持ちになりましたが私たちは貧乏になっています。
 
 
●「お金がない人」がたくさんいる。さらに増える新ターゲットの貧困層
 貧乏な人ばかりでも層が厚ければビジネスになります。少額のものでも多くの人が買うとビジネスになるからです。BOP(ボトム・オブ・ピラミッド)です。かつてアジアやアフリカ諸国でのビジネスとして注目されました。
   
 そのBOPビジネスが日本でもできるもしれません。国民の15%が貧困ならターゲット層は約1,800万人。厚いですね。飲食店ビジネスにもなりそうです。
    
 前述の所得推移のグラフを見ているとこれからも減少するのはほぼ確実です。あまりうれしいことではありませんがターゲットである貧困層が増えるということです。
   
 「貧困は関係ない」と思っている人もいるかもしれません。でもすぐに自身が貧困になるかもしれません。社会活動家で「子ども食堂」の支援などをする湯浅誠は著書『反貧困』で日本は「すべり台社会」と述べています。うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまうからです。
 
 
●外食チェーン店のポジショニングマップ。その下に新しい市場ができている
 飲食店ビジネスでは高級なフレンチや割烹料理店、一般のレストランや飲食店、ファミレスさらにハンバーガーなどのファストフードがあります。これらをざっと価格とメニューバラエティの2軸でポジショニングしてみます。
   
 貧しい人が15%となると、ここに実は開拓されていない市場(ポジション)があることになります。低価格の下、客単価250円程度の「超低価格帯」です。需要はあるはずです。1,800万人いるからです。
    
 いま事業者はありません。当然「ありえない。儲からない」からです。しかしあらゆるものを100円で売り、成長を続けるダイソーのビジネスを考えるとゼロではないはずです。
 
 
●飲食店ビジネスのダイソー。250円のコラボ給食チェーン店ビジネス
 近いビジネスとして学校給食があります。提供価格は自治体によって多少違うようですが、およそ250円~300円程度です。日替わりメニューでも一定の顧客数(学校の生徒)が担保されることで、この価格が実現できています。
   
 しかしいま大変です。物価高騰で運営が厳しい状態です。新しいビジネス機会を求めていないでしょうか。同様に外食チェーン店はいつも新しいビジネスの機会を求めています。共同(コラボレーション)ビジネスができるはずです。
   
 給食事業者の弱みは「おいしさ」の市場競争力です。提供したものは常に食べてもらえるため「おいしさ」への関心は低くなります。一方で外食チェーン店では「おいしさ」は不可欠です。また消費者対応も得意です。共同の価値があると思います。
    
 「250円定食」はありえないかもしれませんがダイソーの成功を考えると無茶な考え方ではないはずです。ダイソーと同じように日本での成功をもとに世界への進出も見えます。日本の食事のおいしさはすでに来日観光客に高く評価されていますから。
   
    
●店のあり方をマーケティングの4Pで考える
 マーケティングの基本、4Pつまり製品(プロダクト)・場所(プレイス)・価格(プライス)・プロモーションでざっと店の構成を考えてみましょう。
   
(1)製品(メニュー)は日替わり定食一品
 学校で提供する日替わりの給食メニューを利用します。同時に提供することになればコストの削減が見込めます。
  
(2)店舗の場所はダイソーの近隣
 この店の利用者層はダイソーの利用者層とほぼ同じです。できればダイソーのとなりで営業したいですね。
   
(3)価格は250円目標
 日替わりの定食メニューが250円ならば魅力です。前図にある「250円単品メニュー」も新しい市場として考えられますが毎日は食べられません。日替わり定食は毎日利用できます。大きな魅力です。給食同様に1か月定額提供のサブスクリプションもいいかもしれません。固定客を確保できます。
    
(4)プロモーションは自然な認知の拡大
 ダイソーのとなりなら認知はすぐに拡大します。また「子ども食堂」がすぐに知られ、広まったように存在意義が理解されれば認知は自然に広がっていくと思います。
   
   
●まとめ。「コラボ給食チェーン店」の社会的な意義
 気づいてみたら日本は貧困がしっかりと根づいた社会になっていました。貧困のままでいると身体や心の健康に悪い影響を与えることになります。
    
 もし低価格の食事を毎日提供するビジネスができれば、社会にとって大切なビジネスになるかもしれません。
    
 「子ども食堂」は2012年に東京都・大田区で「気まぐれ八百屋だんだん」を経営する近藤博子さんから始まったといわれています。わずか10年、2022年は7,000か所以上になっています(NPO法人「むすびえ」発表)。その存在価値が高く評価されています。
    
 「コラボ給食チェーン店」もビジネスとして意義あるものになると思います。困っている人の需要(ニーズ)に応えるからです。社会的価値はビジネスとしての大きな原動力になるはずです。
   
   
参考文献
厚生労働書「国民生活基礎調査」
内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「賃金・人的資本に関するデータ集」令和3年11月
大下英治『百円の男ダイソー矢野博丈』さくら舎 2017
湯浅誠『反貧困「すべり台社会」からの脱出』岩波新書 2008
阿部彩『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』講談社現代新書 2011
日本給食業経営総合研究所『最新給食ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本』秀和システム2022

住所

日本橋3-2/14
Chuo-ku, Tokyo
103-0027

営業時間

月曜日 09:00 - 17:00
火曜日 09:00 - 17:00
水曜日 09:00 - 17:00
木曜日 09:00 - 17:00
金曜日 09:00 - 17:00

アラート

ニッチな飲食店のマーケティング企画室がニュースとプロモを投稿した時に最初に知って当社にメールを送信する最初の人になりましょう。あなたのメールアドレスはその他の目的には使用されず、いつでもサブスクリプションを解除することができます。

共有する