08/05/2026
今週半ば、東京恵比寿南ALでのclam presents clam KYOTO『cool abstract exhibition JAPAN POP』が終了しました。会期中お越しくださった皆さま、本当にありがとうございました。
会場のALは、展覧会だけでなく、撮影やイベント、編集的な空気も自然に混ざり合う不思議な場所です。駒沢通りから少し入った静かな通りにありながら、東京のカルチャーが流れ込み続けています。今年もこの場所で展覧会ができたことを嬉しく思っています。
タイトルにあるclam KYOTOは、フランスパリ発カルチャーメディア『clam』代表アンディ・アマディ・オコロアフォーと、わたし吉本義巳が京都で始めたアートプロジェクトです。コンペティション形式の展覧会やわたしのキュレーションを通して、日本から新しい表現やアーティストを紹介する活動を続けています。
今回完成した『clam 32』には、そのclam KYOTO特集が遂に掲載されました。今年秋には欧州の現代美術やコンテンポラリーアートシーンの中心地パレ・ド・トーキョー Palais de Tokyo にて取り扱いが始まります。clam KYOTO、堂々パリデビューというわけですね。
さて、今回のALの展覧会は、clam KYOTOを背負いながらの個展として、再出発となりました。わたしのテーマ“cool abstract”は、単なる抽象画ではありません。街に残る光、剥がれたポスター、夜の湿度、人の記憶、喪失感。そういう都市の断片を抱え込みながら少しずつ形になってきたものです。
ルーブル美術館でのアートフェア出展時、フランスの美術評論家から「JAPAN POP」と呼ばれた時も、自分の中では“日本らしさ”というより、都市に積み重なった時間や記憶の層として受け止めていました。
その感覚の根底には、師匠である原田治さんの存在があります。原田さんはOSAMU GOODSのイラストレーターとして広く知られていますが、同時に抽象画を描く人でもありました。還暦後には島のアトリエで抽象画を制作し、その仕事はイラストレーションとは別の、自分自身のための絵として続けられていました。
さらに原田さんの向こう側には、ニューヨーク・スクールの抽象画家であり、原田さんの師でもあった川端実さんがいます。そして原田さんと共に研究していた北園克衛さんの、詩、タイポグラフィ、写真、コラージュを横断する感覚も、自分の中に深く残っています。
わたしのcool abstractは、その三者から受け取った感覚を、京都の街、剥がれたポスター、夜の湿度、人の記憶と重ねながら、自分なりにもう一度組み直しているものなのだと思います。
今回、ALで作品とclamの誌面を行き来しながら観てくださる方々の姿を見て、雑誌と展示、編集とアート、京都とパリと東京は、もっと自然に混ざり合えるのだと感じました。同時に、キュレーションとは単に人を集めることではなく、「誰と、どんな空気を残すのか」を引き受けることなのだとも思いました。
会期中、ALのオーナーである川崎さんから、「吉本さんは優しすぎる。もっと厳しい目を持った方がいい」という言葉もいただきました。わたしは確かに人を信じすぎるのかもしれません。けれど、その優しさの中からしか生まれない表現も、確かにあると思っています。一方で今回、自分の作品も、キュレーションも、もっと精度を持って進めていかなければならないとも感じました。
clam、アンディ、AL、そして関わってくださった皆さまに深く感謝しています。これで終わりではなく、clam KYOTOも、cool abstractも、また次へ向かいます。
yohimi yoshimoto
design studio paperweight Inc.