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ご紹介が遅くなりましたが、先月、月刊『アイ・エム・プレス』でCRM(Customer Relationship Management)についての連載をご執筆いただいていたSIS 代表取締役の斎藤孝太さんの13冊目となる新刊、『50の現場事例...
25/04/2026

ご紹介が遅くなりましたが、先月、月刊『アイ・エム・プレス』でCRM(Customer Relationship Management)についての連載をご執筆いただいていたSIS 代表取締役の斎藤孝太さんの13冊目となる新刊、『50の現場事例から考える 接客の未来』(2026.3、産業能率短期大学出版部)が出版されました。

本書は、サブタイトルにもあるように50の“現場事例”を軸に、各事例にかかわる解説とコラムから構成されており、あくまでも現場の接客担当者の目線でわかりやすく記されているのが特徴。各事例には、「専門店」「総合小売」「サービス業」「飲食・食品」「WEB」の5つのインデックスが施されており、計220ページに及ぶ膨大な情報の中から、読者の課題にフィットする内容を探しやすいように設計されています。

私が本書のタイトルを見て最初に興味を持ったのは、マーケティング・オートメーションやセルフレジ、さらには無人店舗など、言わば“接客の自動化”が進展する今日、長年にわたり“顧客育成コンサルタント”として活躍されている斎藤さんが、“接客の未来”をどのようにご覧になっているのかということでした。

実際に読み進めてみると、「事前ネット検索への対応」「SNS情報の接客活用」「オンライン接客」などデジタル時代ならではの接客事例があれば、デジタル化が進むほどに重用される人間ならではの接客事例、さらには、デジタル/アナログといった手段を超えた本質的な接客の価値にかかわる事例もあり、その未来に向けてのアングルはさまざま。そしてそのすべてに、“顧客育成コンサルタント”として25年にわたり、クライアントの接客の改善に取り組んでこられた斎藤さんのご経験と知識に基づく解説が施されていました。

本書の「おわりに」では、「接客の効率化、お客さまの価値は上がっていない」という見出しのもと、セルフサービスは人不足の解消には一定の効果があるものの、結果として接客の価値が下がっていることが多いと警鐘を鳴らされています。私自身、そうした事態に直面することがあるし、人的対応がなされていても、マニュアル一辺倒で不満が残る接客が少なくない今日この頃。店舗やコールセンターなどでは、本書を顧客接点の最前線に携わるスタッフのディスカッション素材として活用してみてはいかがでしょうか。

去る3月27日(金)14:30~16:30、東京・新宿で、日本ダイレクトマーケティング学会の主催により、Ruth P. Stevens氏来日記念セミナーが開催されました。Ruth P. Stevensさんは、ニューヨーク大学、コロンビア大学...
05/04/2026

去る3月27日(金)14:30~16:30、東京・新宿で、日本ダイレクトマーケティング学会の主催により、Ruth P. Stevens氏来日記念セミナーが開催されました。

Ruth P. Stevensさんは、ニューヨーク大学、コロンビア大学のほか、シンガポール、オーストラリア、ギリシャ、上海、香港、アルゼンチンなど世界各国の大学・大学院で教鞭を執った経験をお持ち。また、月刊『アイ・エム・プレス』でも何度となく連載記事をご執筆、米国における最先端のECやソーシャルメディア事情をいち早く日本の読者に届けてくださいました。

そんなRuthさんが同学会のセミナーに登壇するのは、2年前に続いて今回が2回目。今回の演題は「D2Cビジネスにおけるリテンション・マーケティングの成功事例とそのポイント」で、「1.顧客を維持し、拡大するための10の戦略」「2.会社内の縦割り組織に対峙するために」の2つのパートから構成されていました。

1.では、新規顧客を開拓し、その顧客価値を増大するための戦略について復習した上で、以下の10の戦略を提示し、事例や調査結果を交えてそれぞれの方法論を説明した後、顧客維持の効果測定方法に言及。最後に顧客維持におけるAI活用の最新事情が披露されました。
①オンボーディング(初期段階における積極的な顧客支援)
②課題解決:カスタマーサービス
③顧客の声に耳を傾ける
④マーケティングの浸透(購買履歴に基づくクロスセル&アップセルなど)
⑤継続購入の促進(サブスクリプションや在庫の自動補充など)
⑥コミュニティの構築
⑦顧客の離反防止(離反の兆候など)
⑧顧客の再活性化
⑨ロイヤリティプログラム
⑩休眠顧客の再活性化

2.では、企業内の縦割り組織の実態を紹介した上で、その背景には人間の性とも言える縄張り意識や権力志向、不安やコントロール欲求などがあると指摘。ドラッカーの「どんなに優れた戦略も、組織文化には勝てない」という名言を引用した上で、以下の4つの戦略を紹介。最後に眼鏡のECで知られるWarby Parker eyewearの事例が披露されました。
①組織横断的なゴールの設定(LTV、NRR<Net Revenue Retention>、解約率、リピート率など)
②顧客維持を経営陣の優先課題に掲げる
③機能的な仕組みと手順を用意する(全社共通のDBや顧客のライフサイクル・マップなど)
④部門横断的な貢献へのインセンティブや報酬の導入(営業の報酬に契約更新にまつわる指標を加えるなど)

最後に、前回の同学会での講演資料の中から「ダイレクトマーケティングの未来」と題したパワポを投影しながら、2年前と現状と比較。コーヒーを飲みながらのQ&Aやディスカッションを経て2時間にわたるセミナーが終了しました。

受講者には2年前のセミナーにも参加したリピーターも多く、終止、和やかな雰囲気の中で、随所で参加者を巻き込みながらの講演はさすが。顧客維持のA to Zを改めて整理して学ぶことができたことに加え、社内の縦割り組織にかかわる課題への取り組みは、日本でも取り沙汰されがちなだけに、大いに参考になったのではないでしょうか。

25/03/2026

明後日、3月27日(金)の午後から、日本ダイレクトマーケティング学会の主催により、月刊『アイ・エム・プレス』でインタビューや連載にご協力いただいていた Ruth P Stevens 氏のセミナーが開催されます。 

テーマは、リテンション・マーケティング。まだ残席があるようですので、ご興味がある方は、コメント欄に記したリンク先をご参照の上、今すぐにお申し込みください。

◯テーマ「Retention Marketing Best Practices for D2C Businesses」
(D2Cビジネスにおけるリテンションマーケティングの成功事例とそのポイント)
*当日は通訳が入ります。
◯日時2026年3月27日(金)14:30~16:30
◯参加費:無料
◯会場ビジョンセンター西新宿306ルーム

昨日、1月27日に、Learning itの主催により大手町三井カンファレンスで開催された「VoC Impact Survey 2026 VoC(顧客の声)活用実態調査報告セミナー&カンファレンス」に参加してきました。これは、かねてより重要...
28/01/2026

昨日、1月27日に、Learning itの主催により大手町三井カンファレンスで開催された「VoC Impact Survey 2026 VoC(顧客の声)活用実態調査報告セミナー&カンファレンス」に参加してきました。

これは、かねてより重要な経営テーマとされながらも、課題も取り沙汰されているVOC活動をサステナブルな組織学習と事業成長に繋げるべく、企業および業界団体の賛同を得て行われた日米共同の調査結果を披露すると共に、経営戦略レベルでのVOC活用における“次の一歩”を見つけることを趣旨としたイベント。

カリキュラムは、午後3時からの3時間に、Learning it代表取締役であり、かつ弊誌のコメンテーターを長年にわたり担ってくださった畑中さんのご挨拶に続いて、John A. Goodmanさんによる特別講演「VoCの最新動向、戦略的VoCを展開するための必須要件」、メイン・コンテンツであるVoC実態調査結果報告、およびVoCエコシステム・パートナー企業3社による調査結果を受けてのパネルディスカッション。休憩を挟んで、アリゾナ州立大学のThomas Hollmann先生による海外アカデミー講演、「Three Trends from the Two Studies: VoC Impact Survey & Customer Rage Study」、キリンホールディングス、サラヤの2社によるVOC活動の事例が披露されるという充実した構成。

弊誌で最初に“VOC”という用語を使ったのは2000年代始めのことだったと記憶していますが、それから二十余年間、VOCという言葉を使うか否かは別として、コールセンターやWebサイト、店頭などさまざまな顧客接点に寄せられる顧客の声の分析・活用は企業にとって大きなテーマであり続けました。そして今回のセミナーを通して、そのVOCが改めてフォーカスされるに至った背景には、AIにより、“平均”や“典型”ではなく、顧客一人一人を捉え、分析することが可能になったこと、二十余年前にはまだ子どもだった若者たちがVOCに興味を持ち始めていることがあると聞き、とても心強く感じました。

全社的なVOC活動の展開にはかねてより、技術的な課題のみならず、旧態依然とした企業文化や縦割りの組織などさまざまな課題があり、AIにより解決できるのはそのほんの一部に過ぎないでしょう。デジタルネイティブの若者たちが、畑中さん初め、昨夏からその共創モデルの構築に向けて組織されているというVoCエコシステム・パートナー企業の経験に学びながら、VOC活動の未来を切り開いていってくれるなら、そんなに嬉しいことはありません。

また、キリンホールディングスの事例を発表された同社お客様相談室 主務の原田啓子さんが、自社が実現したいVOCのカタチについて、「CSV経営の課題を事業へ適切にフィードバックしていくこと」と語られていたことも、エンドユーザーと直接の顧客接点が限られた製造業におけるVOC活動のありようとして、ひとつの理想型を提示しているように思いました。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。少し出遅れましたが、「インタラクティブ・マーケティングまとめサイト」に、「2025年の“私的5大ニュース”と2026年の抱負」と題した記事を掲載しました。記事へのリンクをコメン...
05/01/2026

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

少し出遅れましたが、「インタラクティブ・マーケティングまとめサイト」に、「2025年の“私的5大ニュース”と2026年の抱負」と題した記事を掲載しました。

記事へのリンクをコメント欄に記しますので、ぜひご覧ください。

2025年11月13日、14日の2日間、東京・サンシャインシティ・文化会館にて、第26回目となった「コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2025 in 東京」が開催されました。私は昨年は参加できなかったのですが、今年は久しぶりに展示会...
16/11/2025

2025年11月13日、14日の2日間、東京・サンシャインシティ・文化会館にて、第26回目となった「コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2025 in 東京」が開催されました。私は昨年は参加できなかったのですが、今年は久しぶりに展示会場を一巡すると共に、毎年このイベントで配布している『CCAJガイドブック』(日本コンタクトセンター協会発行)の最新版を入手してきました。

今回の同イベントは、展示会もセミナーもAI一色と言っても良いぐらい。展示会場を歩いていると、ブースに描かれたAIの文字が次々と目に飛び込んでくれば、100コマを軽く上回るのセミナーの7割ほどがタイトルにAIという文字を冠していました。AIの活用範囲は、AIエージェントからオペレーター支援、センターマネジメント、そして収集したVOC(Voice of Customer)の分析までさまざまな領域に及び、AIを駆使したセンター支援システムへの参入企業の増加に伴い、競争も激化している模様です。

AIの次に目についた用語はCX(Customer Experience)であり、AIを駆使して目指しているのは、直接・間接の別はともかく、最終的には限られたリソースを活用していかにCXを向上するかにあると言えそう。そのほかでは、このところマスコミを賑わしているカスタマーハラスメント対策を掲げる企業も目立ち、基本方針の策定やマニュアルの作成支援、カスハラ対応の研修、カスハラ相談窓口の運営、オペレーターのメンタルケアなどから、カスハラ顧客の怒声を穏やかな音声に変換するサービス(!)等に至るまでさまざま。また、高齢化が進む中で、シニア顧客への対応やシニア人材の活用にフォーカスするプレゼンテーションも目につきました。

2014年に月刊『アイ・エム・プレス』の発行を終えて丸10年が経過しましたが、コンタクトセンター業界の顔ぶれも大きく変わってきている様子。以前は一度、訪れれば知り合いだらけだった同展示会も、出展企業の顔ぶれが変われば、2時間ほど滞在したにもかかわらず、存じ上げている方にまったくお目にかかることがなかったのは、今回が初めて。“浦島太郎状態”とでも言いましょうか?<笑>

なお、日本コンタクトセンター協会が年に1回、発行している『CCAJガイドブック』は、今回で35号目になるそうな。これは私が経営していたアイ・エム・プレスが当時の事務局の依頼を受けてご提案して創刊に至ったもので、当初は弊社が企画・編集を担っていましたが、会社クローズ後は後輩達にその業務を引き継いでいます。今回のテーマは、「人間力とAIの融合が生み出す“コンタクトセンター改革”の行方」「“人生100年時代”に求められるシニア人材活用・活躍施策のあり方」「『カスタマーハラスメント対策』の実運用におけるポイント」「生活者のコンタクトセンター利用意識と実態」の4つ。希望者は、同協会に申し込めば、在庫がある限り無料で入手できます(詳細はコメント欄に)。

10月12日(日)、法政大学で開催された日本マーケティング学会の「マーケティングカンファレンス2025」に参加してきました。今回のテーマは、「市場を創るマーケティングとエフェクチュエーションー中小企業から大企業までの実践事例―」。午前中から...
13/10/2025

10月12日(日)、法政大学で開催された日本マーケティング学会の「マーケティングカンファレンス2025」に参加してきました。今回のテーマは、「市場を創るマーケティングとエフェクチュエーションー中小企業から大企業までの実践事例―」。午前中から午後一番にかけては、計16のリサーチプロジェクト・セッション、計17のオーラルセッション、ポスターレビュー報告&ポスターセッション、ランチ&ランチセッション、午後二番からは前出のテーマに則った基調講演が開催されました。

私自身は、午前中は「ユーザー・イノベーション研究会」のリサーチプロジェクト・セッションと茨城大学の今村一真先生をコメンテーターとするオーラルセッション、そして博報堂の「メディアとしてのAI」と題したランチョンセッションに参加。午後には、「価値共創型マーケティング研究会」のリサーチプロジェクト・セッションを経て、基調講演に参加しました。

私が毎回、参加している価値共創型マーケティング研究会では、神戸製鋼所の宗さんによる「価値共創型サービスビジネスモデル開発に関する取り組み」が印象的。宗さんの発表によると、アカデミアの専門家の協力を得て分析した結果、同社の非汎用産業機械のアフターサービス(オーバーホール)において、技術スタッフが価値共創志向のサービス行為を自発的に行っていることが確認されたとしてその概要と今後の展開を紹介。価値共創型マーケティングのB2Bへの広がりが見られた点に興味をそそられました。

また、エフェクチュエーションをテーマにした基調講演では、神戸大学大学院 経営学研究科 准教授の吉田満梨さんによる解題に続き、小規模企業向けにコンサルティングを行うやろまい 代表取締役/武蔵野大学 教授の秋元祥治さんと、江崎グリコ 執行役員 健康イノベーション事業本部長 兼 クロスリージョナル・ブランドリーダーの木村幸生さんによる2講演を通して、小規模企業と大企業におけるエフェクチュエーションを対比、最後に登壇者によるパネルディスカッションを開催するというなかなかの企画。

秋元さんは、山積みになる墓石の端材の扱いに悩む石材店が端材をレストラン等で食器の下に敷くアンダープレートに加工・販売することで多くの収益を上げた事例、廃業寸前だった高齢姉妹が営む写真館が遺影の撮影スタジオとして再活性化した事例、売り上げ不振に悩む洋菓子店が強みとするバタークリームにフォーカスした新製品を開発することでヒットを生み出した事例など、エフェクチュエーションに当たるコンサルティング事例を紹介。一方の木村さんは、大企業においては従来型のコーゼーションが求められるが、部分的にエフェクチュエーションを取り入れることで成果を上げているとして、自社の事例を紹介されました。

なお、エフェクチュエーションとは、「熟練した起業家に対する意志決定実験から発見された、高い不確実性に対して予測ではなくコントロールによって対処する思考様式」。予測思考、目的思考などを特徴とする従来型のコーゼーションに対して、コントロール志向、手段志向などの特徴を持つとのこと。2023年には吉田先生等により入門書も出版されていますので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。コメント欄にURLを記しておきます。

昨日(9月7日)、第24回目となる日本ダイレクトマーケティング学会の全国研究発表大会が、東洋大学白山キャンパスとオンラインのハイブリッドで開催されました。今回の統一テーマは、「マーケティング・ラボ(実験室)としてのダイレクトマーケティング~...
07/09/2025

昨日(9月7日)、第24回目となる日本ダイレクトマーケティング学会の全国研究発表大会が、東洋大学白山キャンパスとオンラインのハイブリッドで開催されました。今回の統一テーマは、「マーケティング・ラボ(実験室)としてのダイレクトマーケティング~進化するAIが実現するデータ解析とコンテンツ生成の最適化」。

午前の部は、学会員による自由テーマ発表。まずは事務局長の岩井信也氏が、同学会における過去の顧客データ分析プロジェクトを総括した上で、今後の予定について報告。続いて、宇都宮大学の坂巻英一氏による「デジタル媒体を用いたダイレクトメール配信が顧客エンゲージメントに与える影響に関する研究」、市原栄樹氏による「ダイレクトマーケティング業界における情報システム標準と今後について—標準への考察—」の2つの研究発表が行われました。

午後の部は、大会運営委員長である東洋大学の長島広太氏による挨拶の後、2人のゲストによる講演会を開催。慶應義塾大学理工学部管理工学科 准教授 大澤博隆氏による基調講演「ヒューマンエージェントインタラクションとSFが拓く顧客との関係性の未来」に続いて、経済産業省商務情報政策局情報産業課 AI産業戦略室 室長補佐 能登将成氏による特別講演「生成AIの競争力強化に向けた政策について」が行われました。

私は折しも長野に滞在中とあってオンラインで参加したのですが、多様な切り口の講演&発表が集められている点が、デジタルやアナリティクスなどさまざまな分野に浸透すると共にその要素が吸収されたかのように見える昨今のダイレクトマーケティングのポジショニングを反映しているように感じられました。中でも面白かったのは、基調講演の「ヒューマンエージェントインタラクションとSFが拓く顧客との関係性の未来」。冒頭、音声が途切れた部分がありましたが、ロボットがさまざまな現場で活躍する中での人の役割の再設計、SFがイノベーションのヒントになった事例の紹介などの後、SFからイノベーションを生み出す新戦略「SFプロトタイピング」を紹介。これは現状をブレイクスルーし、新たなアイディアをカタチにする上で、大きな可能性を秘めていると思いました。

大会終了後は、同学会総会が開催され、今年度の役員が決まりました。新たに会長となれたのは、西武文理大学 教授の高瀬浩氏、副会長は慶應義塾大学 教授の鈴木秀男氏(留任)、ターゲットマーケティング 代表取締役の的場一成氏ほか1名。その他の理事を含めて、今年度は体制が一新された一方、同学会創設の仕掛け人とも言える柿尾正之が理事を卒業されたこともあり、改めて時代の変化を感じさせられました。

去る6月26日、岐阜聖徳学園大学 経営情報学部 教授の村松潤一先生と、明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科 専任教授の戸谷圭子先生の編著による『サービス・イノベーション サービス化社会へのパラダイムシフト』(白桃書房)が発行されま...
01/08/2025

去る6月26日、岐阜聖徳学園大学 経営情報学部 教授の村松潤一先生と、明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科 専任教授の戸谷圭子先生の編著による『サービス・イノベーション サービス化社会へのパラダイムシフト』(白桃書房)が発行されました。

本書はお二人を含む計11人の先生方が執筆されたもの。その狙いは、経済のサービス化が進み、新しい社会が形成される中、「新しいサービスの考え方を示し、われわれの社会にあって何をどのように捉え直す必要があるのか、そして、何をどのように変えるべきかを明らかにし、それらの具体的な方向性を指し示す」(序文より)ところにあるとのことです。

本書は、日本学術会議のサービス学分科会が6年をかけてまとめた提言をベースにさらに議論を重ねて取りまとめられたもので、今日を「モノからサービスへのパラダイムシフトの時代」、すなわち「モノと交換価値」ではなく、「サービスと文脈価値」を主軸にした社会への転換として捉えるという基本スタンスのもと、以下の6章から構成されています。

第1章 サービスとは
第2章 サービス化社会の課題
第3章 サービス経済下での産業界の役割の変化
第4章 公的統計とサービスの価値評価
第5章 デジタルテクノロジーとサービス化社会
第6章 地域にサービス・パラダイムをもたらすデジタルテクノロジー
第7章 サービス教育に関する教育課程の整備
第8章 社会人へのサービス教育
第9章 「モノ・パラダイム」から「サービス・パラダイム」へ

私は村松先生がリーダーを担われている日本マーケティング学会の「価値共創型マーケティング研究会」に足繁く参加していることもあり、村松先生のご講演や著書はこのページで何度となく紹介してきましたが、同研究会が私が発行していた月刊『アイ・エム・プレス』の終刊を決めた時期に発足したこともあり、村松先生の記事を弊誌に掲載することはできませんでした。しかし、本書の共編著者である戸谷先生には、今からちょうど20年前に発行された弊誌2005年7月号の「CRM実践講座」に「金融サービス業におけるスイッチ障壁の構築法」と題して原稿をご執筆いただいたことがあります。

そんなお二人の共編著書が出版されたという事実に驚かされると同時に、価値共創型マーケティングと弊誌が追求していたインタラクティブ・マーケティングの世界にオーバーラップするところが大きいことを改めて実感。勝手な言い草ではありますが、これは偶然なんかではなく、必然なんだなという思いを強くしています。

7月26日に日本ダイレクトマーケティング学会の会員総会がオンライン開催されました。当日はこれに先駆けて、柿尾 正之さんによる「ダイレクトマーケティングの進化と課題」、安達 満さんによる「大学経営とダイレクトマーケティング~これまでの研究成果...
27/07/2025

7月26日に日本ダイレクトマーケティング学会の会員総会がオンライン開催されました。当日はこれに先駆けて、柿尾 正之さんによる「ダイレクトマーケティングの進化と課題」、安達 満さんによる「大学経営とダイレクトマーケティング~これまでの研究成果と今後の課題」のそれぞれ20分ほどの講演が行われました。以下では柿尾さんの講演のクイックリポートをお届けします。

日本ダイレクトマーケティング学会が発足したのは今からほぼ四半世紀前の2001年のこと。その仕掛け人の一人でもあった柿尾さんは、冒頭で、2025年にはアマゾンがウォルマートを抜いて、世界一の小売業になる見込みとする日経の報道を紹介。アマゾンを初めとするプラットフォーム系通販会社は、四半世紀前に通販業界の主役を担っていたディノスなどの専業者とはビジネスモデルが異なることに触れると共に、今日ではこれに店舗小売業系のネット通販会社が加わることで、往年の専業者の首を絞めるカタチになっていると指摘。また、出店をめぐる法規制の違い、店舗の(時間距離における)利便性の高さ、生活協同組合の進展などにより、欧米に比べて食品の通信販売での購入比率が低いことにも触れておられました。

その後、1852年に世界初の百貨店として営業を開始したフランスのボンマルシェに言及。同社は店舗小売業でありながら通信販売に参入したオムニチャネルの原点とも言える企業であり、顧客の欲望への高い感度を持っていたとすると共に、「商業とは商品による消費者の教育」であるという当時、ボンマルシェ共同経営者であったプシコーの言葉を披露。これに対して現在の通信販売は、“真の顧客志向”という観点からは心配があると指摘されました。

元より通信販売においては、商品の現物を確認しない中での信頼性が問われますが、かつてはカタログやDMなどのオフラインで、そして今ではオンラインでの詐欺的な商法が取り沙汰されていることに言及。昨今では市場が縮小傾向にある中、既存顧客との関係性を強化するべくCRM(Customer Relationship Management)を重用する企業が増えていますが、ともすれば技術偏重で、ボンマルシェ時代からの真の顧客志向が忘れられがちなのではないかと警鐘を鳴らし、20分間の講演を締めくくられました。

私は柿尾さんとは同学会ができる前からお付き合いがあるのですが、かつて通販専業者の信頼性が取り沙汰される中、1970年代後半~1980年代に百貨店、そして大手メーカー・商社などが続々とこの分野に参入したことが業界のイメージアップに寄与したという話しをしていたことを懐かしく思い出しました。あれはもうかれこれ40年近く前のことでしょうか。テクノロジーは進化しても、人間は良くも悪くも変わらない。私にとっては久しぶりの柿尾さんのお話に耳を傾けながら、そんなことをつらつらと考えていました。

住所

代沢3-11-12/201
Setagaya-ku, Tokyo
107-0062

電話番号

+819083301368

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